異生神妖魔学園
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バーストじゃねぇ、バステトだ
朝のHR終了後にて。
ライエル「あの、次術科って聞いたんですが、やる場所は?」
ヴォイエヴォーテ「そういえばまだ言っていなかったな。確か地下の秘術室とか言っていたような…?」
盾子「魔法と魔術ってどう違うのかな?」
ディーゴ「俺も魔法しか知らねぇでごわす。絶対聞いた方がいいな」
紺子「今年新しく入ってきた先生だからな。確か猫とか言ってたっけ」
冷火「猫?西田先生みたいな化け猫とかですかね…(どうせまた変態なんだろ…)」
高見「猫は猫でもバステト神とか言ってた気が…」
許人「バステト神?」
高見「知らないの?エジプトの猫の姿をした神様よ」
司「バステトだかバーストだか知らねぇが、今日もドタバタな1日が始まりそうだぜ」
紺子「んっ…」
教科書とノート、筆箱を持ち、教室から出ようとした紺子だったが、腹に違和感が起き、右手で押さえた。
寝る前から起きた後までの記憶をほじくり返す。
紺子(……あーっ!!夕べ見た夢か!?夢に雷様出てきて、そいつが私のおへそいじってたせいか!?)
龍哉「あれ?紺子どうした?腹痛いのか?」
紺子「あっ……いや、ちょっとな……さすがにトイレ行くまでの深刻さじゃないけど」
一生「妖術も魔術と違うのかな?」
さて、紺子たちが向かった場所は地下にある秘術室。『秘術』である。『美術』でも『技術』でもない。
中は童話によくある魔女が使う大鍋、小動物が入ったいくつかの籠、壁には魔法陣が描かれたポスターが貼られ、教室の中央には4つの長机が置かれていた。
一生「へ~、ここが秘術室…」
辰美「あっちに大鍋ありますし、きっと何か魔術に関するもの作るんでしょうね」
セー「小動物もいるんだ…」
???「ふむ、2年の生徒たちはこれで全員か」
秘術室に入ってきたのはこの科目の教師だろう、古代エジプト風の衣装に身を包んだ冷血そうな女性だった。
高見が言っていたようにバステト神の名にふさわしく、確かに猫耳と尻尾が生えていた。
バステト神「我が名はバステト、またの名を『全猫神守』。バーストとは呼ぶな。向こうの狂気的な方と混ざる」
許人「この人がバステト…」
高見「ね?言った通りだったでしょ?」
司「魔術とかめんどくせぇな…だいたい何でエジプトの神g」
神守「そこ、我が猫だからといって怠けるならば知性すらなき猫として暮らすか?」
司「嫌だよ!!俺様ただのバカになっちまうじゃねぇか!!(全部聞こえてたかチクショー!)」
仁美「たぶん司ドラゴンより猫の方が似合ってると思うよ~」
司「テメェもか仁美ー!!」
セー「食われないよりはマシでしょ?」
神守「さて、そろそろ授業を始めたいが……」
紺子「先生しつもーん。魔術と魔法ってどう違うの?」
神守「出雲紺子か。ふむ、いい質問だな。魔術と魔法の違いか……簡単に言えば魔法はその場で即座に使えるものが多く、魔力で発動の大部分を補い、魔術は術式と贄……何らかの代償を伴うものだ。魔法は失敗すると暴発しやすい点や、魔術は失敗しにくいものの、失敗すると効果が自分に飛んでくることも多いなどの違いもあるな」
ライエル「………………」ガタガタガタガタ
ディーゴ「ん?どうしたんだよライエル。何か怖いことでもあんのか?」
全身を小刻みに震わせていた。それに顔は青ざめ、唇も少し震えている。
ライエル「じ、実は僕の兄さん……あの授業受けてたんだけど、その日の帰り道、僕……他校の不良に絡まれたんだ。まさかあんなことになるなんて…………」
龍哉「どうした?何があったんだ?」
ライエル「僕が絡まれてる時、兄さんが駆けつけてきてくれたんだ。それで黒魔術であいつらを止めてくれて、雷とかそういうのも使おうとしたら急に暴走して、兄さんに当たったんだ。それから兄さんは死んだ………」
赤い紐つきの帯刀に目を向けながら呟く。
ライエル「僕が持っている刀は兄さんが生前使ってたもの。これを持ってれば周りから強く見られると思ってる。ホントは弱いけど、いつかこんな自分から抜け出したいんだよね」
龍哉「まさかそんなことが……俺がお前の兄貴に会ったの小学生だったから、あれから全然知らなかったよ……」
ディーゴ「いろいろ大変じゃのう……」
紺子「私、入学してからライエルと話したことないけどその話ホントなの?」
神守「ああ。我もその話は聞いてる。鐵ライエルの兄『鐵ヤイバ』だが、あいつが死んだと聞いた時は魔術の暴走が原因だろうととどめておいたがな。まさか本当に暴走していたとは………」
冷火(紺子が変な魔術覚えたらこっちもパニックだけどあいつは学園一死んでほしくない奴ベスト10に入ってほしい…いやいや何考えてんだ冷火は!!)
一生「やっぱり俺の考えてる妖術と魔術はそんなに違うんですね。俺も人間に化けたり、たまに人騙したり…」
神守「ほう?」
一生「いや、これでも臨機応変なところだってあるんですよ!?俺だって騙されますし、時には知恵を出し抜いたり………いつもじいちゃんが言ってました。『ワシら狸は人を騙すために欺くんじゃない、笑顔を咲かせるために演じる』んだって……俺も、そんな自分になりたいんです」
神守「…………化け狸よ、確か信楽一生といったな。ならばそこにいる狐、出雲とはどういう関係だ?」
紺・一「「!?」」
言葉を失ってしまった。
特に一生、ライバルだなんて言えない!紺子も同じ状態だった。
一生「あっ……あんっと……そのぉ…………」
紺子「ら…ら…ライバルですっ!」
一生「あーっ!!紺子テメェ!!」
紺子「正直に言ってやったよ!お前がどもってたからじれったくなったんだよ!!」
一生「だからってバラすバカがどこにいるんだよ!いくら俺たちがライバルでも絶対隠すところだろ!」
獄宴「まーた始まった…」
乱「そんなことよりチューしたいよ、チュー。私のチューでこんこんと一生の喧嘩止めたい」
このクラスにはキス魔は1人しかいない。獄宴が呆れる中、乱は紺子と一生にキスすることしか頭になかった。
許人「君ホントそれしか考えることないんだね。ところで今朝起きたらシマがいなかったんだけど、どこ行ったんだろ?」
獄宴「シマ?ああ、ペットのリスのことか」
炎宴「それなら小動物の籠の中のひとつに」
死宴「入ってるわよ~ん?」
許人「え?まさか……冗談だよね……?」
半信半疑で立ち上がり、小動物の籠の前に向かう許人。いくつもの並んだ籠の中、ネズミやモルモット、蛇などが入っている。
許人が言っていたリスのシマを探していると……………簡単に見つかった。リスがいくらネズミの仲間でも、あんな地味な色をしていない。茶色と灰色、黒い線が入っているのだから。
許人「…あ…あ……ああああああああああああああ!!!」
神守「どうした、だいだらぼっち(名前わからん)」
許人「先生…ぼっ、僕のペットが……!り、リスのシマが……!!」
神守「お前のペットがどうした?」
取り乱す許人に神守が近づき、シマが入っている籠を見る。
神守「………あ」
許人「『あ』って何ですか!?『あ』って!!」
神守「わかりきったことを。こんなことをするのは学園長しかいないからだ」
許人「学園長!?僕が寝てる間にどうやって…!」
神守「どうやってやったかはわからん。だが犯人は100%あの方で間違いない」
冷火(セクハラ以外にも人のペットにも手出すのかよォォォォ!!学園長として終わってんじゃねーかー!!)
龍華「とりあえず許人、1回落ち着け。シマが無事ならそれでいいじゃねぇか」
許人「う、うん……」
神守「さて……それでお前たちはいつまで喧嘩しているんだ?」
紺・一「「あ゛」」
神守の怖い顔とひと睨みで紺子と一生の喧嘩の手は止まってしまった。
今日も学園は平和です。
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