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異生神妖魔学園

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昼食最高!お残し厳禁!

昼休みが始まり、食堂へ向かった紺子たち。周りにはすでに食事をしている生徒たちもいた。


辰美「うわぁ…すっごいたくさんいますね」

龍華「食券の自販機はっと……ああ、これか」

紺子「やっぱ私きつねうどんだな!油揚げ超最高だし!」

龍哉「お前好きだなぁ、油揚げ…」

辰美「でしたら私は特上大盛三段弁当にします」

仁美「私もそれにする~」

ライエル「2人共大食い……なんだよね?そんなに食べれるの?」

辰美「大丈夫です。私、食べても太らない体質なので」

龍哉「うわっ!!何してんすか!うなじ舐めないでくださいよ、びっくりしたじゃないですか!ていうか抜かすな!」

紺子「ゲッ!舌寺先輩!」


紺子が驚きのあまり声をあげた龍哉に振り向くと、辰美と盾子と話していた垢嘗、『赤井舌寺』がニヤニヤしていた。
舌寺の周りにいる紺子、辰美、ライエル、龍華は急いで彼から離れたが、舌寺はニヤけながら長い舌を動かした。


舌寺「やっぱ龍哉っちのうなじはいい味ですな~。あ、でも一番舐めたいのは紺子っちのお腹かな~?」

紺子「え…また私……?ちょっと、冗談でしょ?やめてくださいよ、ねえ…ねえ……!」

舌寺「俺っち、紺子っちのお腹舐めてからすっごいやみつきになっちゃったんだよね~。だからお願~い、もっかい舐めさせて~」

紺子「い、嫌…待って…やめ…!」

舌寺「いいじゃんいいじゃ~ん」

紺子「…うわああああん!!この先輩気持ち悪いよ~!!見てないで誰か助けてぇぇぇぇ!!」


舌寺の長い舌が迫り、紺子が泣き出したその時だった。


龍哉「赤井先輩…もういい加減にしてください…紺子泣き出しちゃったじゃないですか……………」

舌寺「んん~?な~に~?」

龍哉「いい加減に……しろーーーーっ!!龍王連撃打!!」


堪忍袋の緒が切れた龍哉が襲いかかり、舌寺に連続パンチを浴びせ始めたではないか。


舌寺「ホブァアアアアアア!!?」

龍哉「消し飛べェェェェェェェェ!!」

舌寺「ギャアアアアアアアアァァァァァァ…!!!」キラーン


とどめに思い切り殴られ、舌寺は天井を突き破るほど大空まで飛ばされ、星になった。
それから龍哉は紺子へ駆け寄った。


龍哉「紺子、大丈夫か!?」

紺子「龍哉…!」

龍哉「もう安心してくれ。赤井先輩は星になったぜ」

紺子「うっ………う、うわああああああああん!!今のホントに気持ち悪かったよ~!!助けでぐれ゛てあり゛がどう~!!」


紺子は安心のあまり大声で泣き出し、龍哉に抱きつきながら泣きじゃくった。


牙狼「あっ、龍哉。さっき舌寺の悲鳴が聞こえたけどどうかしたのかい?」

龍哉「白銀先輩。お疲れ様です。実は赤井先輩のいつもの悪い癖が出まして……」

牙狼「あー…実はそうなんだ。あいつ、何か舐めることによってとてつもない快楽を感じてるんだよね。僕も最近またうなじ舐められたし」

龍哉「奇遇っすね。俺もさっきうなじやられましたよ」

牙狼「『変態』と書いて『フェチズム』って読むからね。それにあいつ、誰に対しても舐めた態度とるし、先生に対しても『○○っち』って呼ぶし。全くとんだ問題児だよ」

龍哉「でも化学薬品のあれは笑いましたよね」

牙狼「うん。でもいつものことさ。最初あれには僕も笑ったけど、最近はねぇ………」





紺子が泣き出してから数分後、彼女はやっと泣き止み、早速食券をカウンターまで持っていった。これから使用するトレイの上には箸と水が入ったコップがある。
目の前には数年の生徒が並び、その中には一海もいた。


紺子「うはぁ…結構多いなぁ…」

一海「……あっ、出雲姐ちゃんだ」

???「はーい、次の方ー!」

???「あらっ、あんた前に紺子ちゃんが言ってた妹じゃないの!」


食堂で料理を作っているのは割烹着を着た女性とふくよかな体型のオバハンの2人だった。


???「あなたが昨日入学してきた新入生ね。おばちゃんは及川夏芽だよ」

???「アタイのことはジャック・ザ・母ちゃんと呼びな!」

一海「よ、妖狐の藤井一海ですっ!カズミンと呼んでくださいっ!」

紺子「出雲姐ちゃんここにいるぞー!」

一海「うわっ、ちょっと…声でかいよ!いつの間にか並んでたなんて最悪だ~…!」

夏芽「はい、おばちゃんお手製いなり寿司だよ!」

ジャック「お残しは許しまへんで!残したらどうなるかわかってるかい?」

一海「わかりません!し、失礼します!」


一海は顔を真っ赤にしながらいなり寿司が乗ったトレイを持って慌ててカウンターから離れると、次に待っていた生徒がカウンターの前に出る。料理ができるには少し時間がかかるようなので生徒たちはトレイと食券をカウンターに置いたあと、離れた。
ようやく紺子の番になり、カウンターの前に出た。


紺子「夏芽さん、ジャックおばちゃん、久しぶり!」

ジャック「あらま!カズミンのお姉ちゃんじゃないか!久しぶりだね~!さっきあんたの妹顔真っ赤っかだったよ~!」

紺子「う、うん…(妹っちゅーかただ居候してるだけなんだけどな…あいつの両親もう死んでるし)」

夏芽「昨日は散々だったでしょ。入学式に遅刻しちゃって大声出して……おばちゃんにも聞こえてたよ~」

紺子「はあぁ!?ウッソでしょ…!」

ジャック「当たり前だろ?まさか教室間違えたとか言うんじゃないだろうね?」

紺子「…………あ゛」ビシッ

夏芽「あらら、石化しちゃった。ジャック先生、さすがに今のはないでしょ…」

ジャック「紺子ちゃん石化しちゃった!?アタイの何がいけなかったんだろうね…」

龍華「さっきの発言だろうが。紺子な、昨日マジでその通りだったぜ」

夏芽「こらこら龍華ちゃん。ちゃんと順番通りに並んで」

ジャック「並んでるみんな、紺子ちゃんはほっといてトレイそこに置いといておくれ」


生徒たちは石化して倒れた紺子など無視してカウンターにトレイを次々と置いていく。
そんな中龍華は紺子をテーブルの席まで引きずり、なんとか座らせていた。隣には一海がいる。


一海「何で出雲姐ちゃん石になってんの?ちょっと理解できないんですけど」

龍華「ほら、こいつ昨日遅刻したろ?教室間違えたせいで先生から反省文もらってさ………で、さっき夏芽さんとジャックさんと話してたらジャックさんがこう言ったんだよ。『教室間違えたんじゃないだろうね?』ってな」

一海「昨日も今日もその話か…でもきつねうどん出したら元に戻るかもしれないし、そのままにしとくか」

龍華「ところでお前、前から気になってたんだけど、油揚げ嫌いなんだろ?何でいなり寿司は平気なんだ?」

一海「さあね。僕にもわからない」

龍華「何じゃそりゃ。自分でもわかんないって…」

夏芽「はーい、きつねうどん一丁!」

龍華「あっ、できたみたいだな。俺が運ぶか。あいよー!」

一海「ついでに僕の食器も片付けといて」

龍華「思いっきりパシってんじゃねぇよ!?」





その後龍華は仕方なく一海の食器を洗い場に入れ、カウンターで紺子のきつねうどんが乗ったトレイを持ち、一海たちがいるテーブルまで戻った。
きつねうどんを紺子の前に出すと……………。


紺子「よっしゃああああ!!きつねうどんキタ━━━(゚∀゚)━━━!!出雲紺子ふっかーーつ!!!」

龍華「うるせぇよお前は!たかがきつねうどんでテンション上がりすぎだよ!」

紺子「何言ってんだよ!狐が食べるうどんの中に油揚げがなけりゃ辛いだろうが!お前らは考えたことあんのか!油揚げに入ってないいなり寿司の気持ちをォォォォォォ!!」

龍華「んなこと一度もねーよ!てかそれ寿司じゃなくてただの米!シャリだろうがよ!」

一海「出雲姐ちゃん、こんな奴無視してさっさと食べなよ。のびちゃうよ?」

紺子「お、おう。そうだな」

龍華「こんな奴ってどういう意味だよ!」

紺子「言っとくけど私よりすごい大食いがここにいるからな」

一海「え?」


紺子が指した方向を見ると、確かに辰美と仁美が特上大盛三段弁当を食べていた。
弁当の中のおかずは恐ろしいほど豪華で、もはやおせち料理である。伊勢エビが入っているのが遠くにいてもわかるほどはっきり見えた。
だが大食らいの辰美と仁美には関係なし。夢中でどんどん食べていき、弁当の中身はもうほとんど入っていなかった。


龍華「やっぱあいつらスゲェ…」

紺子「な?」

一海「すごいけど引くわ怖くて…あの2人太らない体質なのかな?」

紺子「うん。あいつら、昔はっきりそう言ってたし」

ジャック「ゴリャアアアアアアアアア!!!!せっかくアタイらが作った料理をこんなに残しやがってぇぇぇぇぇぇ!!!!」

紺・龍・一「「「!!!?」」」


突如ジャックの怒号が食堂中に響き渡り、紺子たちは驚きのあまり転びそうになった。
見ると残したであろうボロボロのセーラー服を着た少女がヘラヘラと笑っていた。


紺子「あっ(察し)」

一海「びっくりしたぁ…ジャックさん何があったの?」

龍華「あれから見て先輩、昼飯残したみたいだな。ナイフ持ってるからあれが始まるぜ」

ジャック「留年111年目の残年生、富士美弥妃ィ…!アタイがいるにも関わらず残すなんていい度胸してるじゃないか…!」

美弥妃「だって私、もうお腹いっぱい!お腹いっぱいなの!」

ジャック「あんたは食べ物の大事さがわかってないみたいだね……残飯はいつも誰が処分すると思ってるんだい……!?」

美弥妃「えー?知らない。知らないよーん」

ジャック「知らない…!?残したみんなには責任かかってるのに、あんたは『知らない』だぁ…!?」

美弥妃「だって私、美味しいものが食べれれば嬉しいんだもーん」

ジャック「もう頭に来た!!口で謝ってもまたやるかもしれないし、土下座しても絶対に許さん!!あんたの体で教えてやろうじゃないかい!!ジャックおばはん流お仕置き、『地獄壁ナイフ』を見せてやるわァァッ!!!!」


ジャックは隠し持っているナイフを取り出し、そのうち1本を壁に投げつけた。
刃先は見事に刺さり、美弥妃の顔にギリギリ当たるところだった。

一海「ね、ねえ…あれって……」

紺子「そうなんだ。夏芽さんとジャックおばちゃんが作った料理を残すと、ああやってジャックおばちゃんがキレて地獄壁ナイフの刑を受けることになるんだ」

一海「はぁ!?何それ!いくら残したからってあそこまでする!?見てる方も怖いけどやられる方は……!」

紺子「1回頼んでみるか?トラウマになるから」

一海「嫌だよ!!残したらされるんでしょ!?てか僕出されたものは全部食べる方だし!!」


2人が話している一方でもジャックのナイフ投げは加速していた。


美弥妃「面白ーい!もっとやってー!もっとやってー!」

ジャック「チェストォォォォォォ!!」


最後の1本が決まり、これまで投げられた無数のナイフは見るからに人の形をとり、美弥妃はその罰を受けたにも関わらずヘラヘラ笑っていた。


ジャック「アタイの腕は料理以外にもナイフ芸もピカイチ!やっぱアタイはサイキョーだね!」

美弥妃「…あっ!」ゴロンッ

一海「ん?ギャー!!頭取れたー!!」

美弥妃「どうしよどうしよ!頭取れちゃった!取れちゃった!」

夏芽「ジャックさん、あっちでカズミン怖がってるし、おばちゃんそういうのは見えないところでやった方がいいと思うの」

ジャック「このくらい大丈夫だろ。アタイがやることなんて日常茶飯事だし、見てるうちにすぐ慣れるさ。紺子ちゃんだって去年そうだったよ」

紺子「…………」ズルズル


夏芽とジャックの話には一切耳を傾けず無言できつねうどんを美味しそうにすする紺子であった。


龍華「お前少しは心配しろよ!?」 
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