恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百三話 公孫賛、やはり忘れられるのことその九
どうしてもわからずだ。彼等も首を捻るばかりだった。
わからないままだ。結局だった。
この騒動はうやむやのうちに消えた。そうして。
公孫賛はだ。ふとだ。
夏侯惇にだ。こうぼやくのだった。
「全く。最近な」
「誰だ、貴殿は」
「だから公孫賛だ」
名乗らなければならなかった。彼女は。
「だから覚えていないのか」
「いや、最初から知らないのだが」
「何故だ。前の訓練も一緒だったではないか」
「そうだったのか」
言われてもだ。どうしてもぴんと来ない夏侯惇だった。
それでだ。また言うのだった。
「それで何なのだ?」
「最近怪しい噂が出ているが」
「うむ、赤い女だな」
「そうだ。赤い髪の女だが」
「何者なのだ、一体」
「見れば貴殿は」
夏侯惇はここでその公孫賛を見た。見ればだ。
その髪はだ。赤かった。それを見て言うのだった。
「まあ違うな」
「違う?」
「いや、貴殿は今こうしてここにいるしな」
「だから違うというのか」
「そうだろうな。しかしおかしな話だった」
「赤い髪の。謎の女だな」
「正体不明だった」
夏侯惇が言った。
「結局都から消えた様だな」
「ううむ、私も噂は聞いたが」
「わからなkったか」
「全くだ」
そうした話で収まったのだった。結局赤い髪の女の正体はわからなかった。
そしてだ。張飛は能天気に馬超に話した。
「そういえばなのだ」
「んっ、どうしたんだよ」
二人で飲み食いしながらだ。話していた。
「公孫賛の髪は赤いのだ」
「ああ、そうだよな」
「しかも鎧は白なのだ」
「あれ結構似合ってるよな」
二人で餃子や焼売を食べながら話す。
「あの人にな」
「全くなのだ。それで胸も大きいのだ」
「だよな。結構スタイルもよくてな」
「けれど何故かなのだ」
「あの人目立たないんだよな」
「どうしてなのだ?あれは」
「やっぱりあれだろ」
馬超が言う。
「個性がないんだろうな」
「個性なのだ?」
「だからだろうな」
馬超は今はラーメンをすすっている。
「実際にいても気付かないだろ」
「そういえばそうなのだ」
「何かな。本当に個性がないんだよ」
「そういえば確かになのだ」
「あたしとか馬鹿だからな」
ある程自覚はしているのだった。
「それで筋肉だけだしな」
「鈴々もなのだ」
「それはそれで目立つんだけれどな」
「けれどええと、白何なのだ?」
「白香じゃなかったか?」
二人は公孫賛の真名を忘れてしまっていた。
「何かそういう名前だったよな」
「よく覚えてないのだ」
「まあとにかくあれだよ」
馬超はここでは少し強引に張飛に話した。
「地味っていうかな」8
「個性がないのだ」
「そうだよ。やっぱり個性って大事だよな」
このことは正しかった。真名を忘れていても。
「人間覚えてもらわないとどうしようもないしな」
「結局はそれなのだ?」
「だろうな。しかし赤い髪の女ってな」
「誰だったのだ?一体」
「あたしにはわかんね」
「鈴々もなのだ」
二人にも気付かないことだった。
「誰なのだ?本当に」
「急に出て来て急に消えたけれどな」
「本当に謎の奴なのだ」
「全くだよな」
こうした話をしてだった。二人はいぶかしむばかりだった。誰もがその赤い髪に白い鎧の女についてはわからずじまいだった。
第百三話 完
2011・8・13
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