八条学園騒動記
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第六百二十話 甘酸っぱさがその十
「もうこれ以上はないまでにね」
「野蛮よね」
「人間違いはないよ」
「そうよ、それで階級なんてあるなんてね」
「貴族だ平民とか」
そうした風に定めてというのだ。
「平民を虐げてね」
「それで平民もそれに甘んじてるとか」
「そんな社会の方がね」
「ずっと野蛮よ」
「というかエウロパの歴史なんてね」
七海はここから話した。
「戦争と虐殺ばかりじゃない」
「そうそう、何かっていうと」
「魔女狩りとかしてたしね」
「それ見たらね」
「エウロパの方が野蛮よ」
スターリングと蝉玉は七海のその言葉に応えた。
「ずっとね」
「どう見てもね」
「私達千年以上戦争してなくて」
七海は今度は連合の歴史を話した、ただし連合はその千年でエウロパはそれこそギリシア神話の時代から話している。
「虐殺だってね」
「一度もないよ」
「テロはあったけれどね」
「そんな無茶苦茶なのはね」
「一度もなかったわ」
「そうした社会よ」
連合はというのだ。
「だったらね」
「一目瞭然だよね」
「どっちが野蛮か」
「もう言うまでもないでしょ」
「そうだよね」
「もうね」
「そんなエウロパに言われても」
野蛮と言われてもというのだ。
「鼻で笑うわ」
「何かエウロパ戦役で連合軍の人達が賑やかでどんなお店でも普通に入ってお酒も食べものもどんどん食べて」
彰子が言ってきた。
「それで大学の中庭でバーベキュー焼いて立って飲んで食べるのが」
「野蛮だっていうの」
「そうみたいよ」
「何処が野蛮なのよ」
真顔でだ、七海は言い返した。
「普通でしょ」
「連合だとね」
「兵隊さんが貴族のレストランに入ってなの」
「あとバーにね」
「それで野蛮なの」
「大勢でズカズカ入って」
そうしてというのだ。
「大騒ぎで飲んで食べるから」
「野蛮なの」
「そうみたいよ」
エウロパの者達にしてみればというのだ。
「どうもね」
「それで野蛮ってね」
「言われてもよね」
「何でなのよってね」
その様にというのだ。
「思うだけよ」
「私もね。その飾らないのがね」
「連合よ」
自分達の国だというのだ。
「いつも明るく楽しくよ」
「そうよね」
「あとあれだね」
ここでまた菅が言った。
「士官の人が下士官や兵隊さんと一緒に飲んで食べるのも」
「普通でしょ」
「エウロパじゃ絶対にないから」
そうしたことはというのだ。
「それもね」
「野蛮なのね」
「閣下でもね」
将官でもというのだ。
「連合だと同じ食堂で食べるよ」
「そうよね」
「だって皆同じ人間だよ」
だからだというのだ。
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