恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百三話 公孫賛、やはり忘れられるのことその二
「折角の仲直りの買いものでまた揉めるって」
「本末転倒じゃない」
「華琳様に合うのは黒か青か」
服の色で揉めたというのだ。
「どちらがいいのかだ」
「で、それでなの」
「喧嘩が再発したのね」
「今度はだ」
服屋で喧嘩をしているそこでだというのだ。
「たまたま店に麗羽様が来られた」
「って私達の主じゃない」
「麗羽様がなの」
「そうだ。それで私達の喧嘩を止められてだ」
そうして。それからだった。
「どちらも買われて私達に手渡してくれた」
「つまりどっちも曹操さんに似合う」
「そういうことね」
「しかも私達の手柄にしてくれた」
袁紹が気を利かせてだ。そうしたというのだ。
「それで喧嘩は終わった」
「何ていうかね。それってね」
「子供みたいだけれど」
高覧も張郃もだ。夏侯惇の話を聞き終えてこう言った。
「そんな下らない喧嘩をするのね、貴女達って」
「そういうことがあるのね」
「だからいつも仲がいいという訳ではない」
まさにそうだという夏侯惇だった。
「これでわかってくれたか」
「ええ、わかりたくはないけれどね」
「わかったわ」
高覧と張郃はさらに呆れた声で応えた。
「まあ喧嘩する程ね」
「そういうことね」
「そういう訳ではないが」
それは否定しようとする夏侯惇だった。しかしだった。
ここでだ。ふとだった。張郃が言ったのだった。
「あれっ、兵の動きがいいわね」
「そうね」
高覧もそのことに気付いた。彼女達が見てもだ。
「私達三人の受け持ちの兵達だけじゃなくて」
「他の兵も」
「黒梅姉さんがいるにしてもね」
「その他の兵達の動きもいいじゃない」
彼等もだ。そうだというのだ。
「特に騎兵の動きが」
「白馬も多いし」
「あれも黒梅姉さんかしら」
「姉さんが訓練しているのかしら」
「呼んだかしら」
しかしだ。ここでだった。
その麴義が来てだ。三人に言ってきたのだった。
「何か私のこと話してたわよね」
「ええ、そうだけれど」
「騎兵を動かしてるのは姉さんなの?」
「いえ、違うわ」
麴義がそのことを否定する。
「あの白馬の騎兵達よね」
「そう、あの白馬の騎兵達は」
「姉さんが訓練してると思ったけれど」
「違ったのね」
「そうだったのね」
「そうよ。私は今は騎兵は動かしてないから」
また別の兵達の訓練をしているというのだ。
「あれは違うわね」
「じゃあ一体誰が?」
「誰が動かしてるのかしら」
「あれではないのか?」
ここでだ。夏侯惇がだ。
騎兵達の先頭にいるだ。赤い髪と服の女を指差した。
彼女を指差してだ。三人に尋ねた。
「あの白馬に乗っている女ではないのか?」
「あれ誰?」
「誰かしら」
「知らないわね」
麴義はだ。誰も彼女を知らなかった。
それでいぶかしむ顔になってだ。こう言うのだった。
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