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イベリス

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第十二話 四月を過ごしてその一

                第十二話  四月を過ごして
 入学式から暫く経ち授業もはじまりそれが軌道に乗ってきてだった。咲は体育の授業中にクラスメイト達に授業が行われている体育館の中で言った。
「うちの体操服色々あるけれど」
「ええ、半ズボンにスパッツにね」
「色もかなりあってね」
「ジャージもあって」
「種類多いわね」
「ええ、けれどね」
 咲は自分の体操服の下の黒い膝までの半ズボンを見つつ言った。
「ブルマはないわね」
「いや、今時ないでしょ」
「流石にね」
「ブルマはないわよ」
「そうよね、漫画とかライトノベルでも」
 そうした創作の世界でもとだ、咲は話した。
「もうね」
「ないでしょ」
「学園ものでもね」
「実際今ブルマの学校ないわよ」
「半ズボンの丈は色々でも」
「それでもね」
「そうよね、確かにうちの学園半ズボンやスパッツの丈も色々で」
 色だけでなくというのだ。
「かなり短いのもあるけれど」
「けれどブルマはないわよ」
「流石にね」
「それだけはね」
「というか私見たことないわ」
 そのブルマをというのだ。
「生まれてからね」
「そうよね」
「私達だってそうよ」
「ブルマ見たことないわ」
「この目ではね」
「何かコスプレであるらしいけれどね」
「風俗とかでね」
「それはあるけれど」
 それでもというのだ。
「学校じゃないわね」
「プロとか企業でもね」
「バレーボールでも半ズボンとかだし」
「もうないわ」
「死滅してるわよ」
「死滅、確かにね」
 咲はクラスメイトの一人のその言葉に頷いた。
「そうなったわね」
「漫画とかでもなくなったから」
「ライトノベルでもアニメでも」
「ゲームでもないわよね」
「もうそんなのだからね」
「だったらね」
「死滅っていいわね」
「絶滅と言うべきかしら」
「絶滅なら生きものだけれど」
 それでもとだ、咲は考えつつ言った。体育の授業の中の自分の順番を待つその間でこうした話をしていった。
「けれどね」
「まあ例えでね」
「そう言ってもいいわね」
「ブルマは絶滅したわよね」
「絶滅危惧種どころか」
「そうなったわね」
「そうね、ブルマの学校なんてなくなって」
 そしてというのだ。
「私達の学校でもだし」
「皆スパッツか半ズボンだから」
「もう明らかよね」
「ブルマはないわよ」
「完全にね」
 クラスメイト達も言った。
「もう過去のものよ」
「というかあんなの穿けないわよ」
「あれ下着でしょ」
「下着姿で体育やれとか」
「もうセクハラでしょ」
「性犯罪引き起こす元凶よ」
「男の子なんて、よね」
 咲は少し深刻な顔で述べた。 
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