イベリス
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第十一話 アルバイト初日その九
「その時はどうなるの?」
「それこそ毒親よ」
これが母の返事だった。
「よく言われる」
「そうした人になるの」
「そう、その時はね」
まさにというのだ。
「そうなるわ。よく子供が二人いて出来がいい方を甘やかしたりするお話あるでしょ」
「ネットの動画漫画で多いわ」
咲もそうしたものを観てきて知っていて答えた。
「確かにね」
「そうよね」
「それで邪険にされた方が頑張ってね」
「親は困った時に見捨てられるでしょ」
「自業自得の展開ね」
「そうなって当然なのよ」
そうしたことをする親はというのだ。
「本当にね」
「そうよね」
「だからね」
母は娘にさらに話した。
「あんたもね」
「今私が言ったことを」
「覚えておいてね」
「わかったわ」
母に確かな声で答えた。
「そうしていくわ」
「そこはくれぐれもね」
「これからは」
「犬でも同じだから」
このことはというのだ。
「猫でもね」
「ちゃんとよね」
「そうしていってね」
「分け隔てなくね」
「そもそもそんな連中に子供が育てられるか」
父は口をへの字にして述べた。
「これまで可愛がっていたのに自分達の子供が出来たら無視する」
「人間の」
「愛情なんてないだろ」
そうしたことをする連中にはというのだ。
「一切な、挙句に捨てるとなったらな」
「もうね」
「知り合いだったら絶対に信用しないからな」
父は強い声で言った。
「父さんはな」
「それはどうしてなの?」
「わかるだろ、可愛がっていた相手をな」
「次に可愛がる相手が出来たらポイ」
「命をもの扱いするんだぞ」
「そうした人だと」
「もうどんな人にもな」
それこそというのだ。
「同じだ、可愛がらなくても利用してな」
「そうしてなのね」
「それでな」
「ポイってことね」
「そうする、子育てだってな」
「出来ないってことね」
「出来る子がいたら贔屓したりしてな」
そうしてというのだ。
「碌な親になっていない」
「そうなのね」
「そんな奴だからな」
「絶対に信用しないのね」
「ペットへの扱いは人間性が出るんだ」
飼う人のそれがというのだ。
「だから碌でもない奴はな」
「碌でもない飼い方するのね」
「虐待したり今言ってるみたいにな」
「次のおもちゃが手に入ったらポイ、ね」
「そんなことをするんだ、だから咲もな」
「そんな飼い方する人とは」
「付き合うな」
絶対にというのだ。
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