ずいとん坊
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第二章
「大阪に行ってな」
「新幹線と勝負をするか」
「そうしてくる」
「ならわしも行く」
シルクハットはずいとん坊の言葉を受けて自分もと言った。
「そうすると」
「お主も行くのか」
「最近大阪には行ってなかった」
だからだとだ、シルクハットはソーセージを齧りつつ述べた、そのソーセージは焼かれていて焦げ目がしっかりとある。
「だからな」
「それでか」
「お主が行くならな」
それならというのだ。
「一緒に行って大阪見物をな」
「楽しむか」
「そうする、そこで美味いものも食おう」
「それではな」
ずいとん坊もそれならと話してだった。
二匹で人に化けて大阪に行った、二匹はまずは大阪の難波や梅田で美味いものを食った。そうして新幹線の駅に向かいながら話した。
「戦が終わって暫く経ってな」
「うむ、大阪は戦の前より賑やかになったな」
「文明が遥かによくなってな」
「随分豊かになったな」
「戦が終わってすぐは酷かったが」
「焼野原であったがな」
新幹線の駅に向かいつつ話した。
「それがな」
「今では嘘の様な」
「これだけ賑やかになって何よりだ」
「しまも飯も大層美味くなった」
「うどんもお好み焼きもたこ焼きもな」
「串カツも美味かった」
二匹でこうした話をしつつだった。
新幹線の駅である新大阪駅に着いた、ここで二匹は今度は鳥に化けてまずは空から新幹線を見ることにした。
二匹は烏に化けて電線の上に止まって新幹線が来るのを待っていたが。
「さて、すぐ来るな」
「そうだな、駅には結構停まっていたしな」
「あの青と白の色合いはすぐわかる」
「いい色合いだな」
「しかもあの先がよい」
「鼻みたいな電車の先がな」
「鉄道も変わったわ」
二匹でこんなことを話した。
「実にな」
「蒸気機関のものはどんどん減っておるそうだ」
「代わりに電車が増えておる」
「そして新幹線も電車だ」
「これからは電車か」
こうしたことを話しつつ新幹線、その青と白で先頭車両の先が独特な電車が来るのを待った。するとすぐにだった。
その新幹線が来た、新幹線は風の様な速さでだった。
二匹の下を突き抜けた、すると。
二匹はその音で気絶してしまった、それで鳥の姿のまま線路の上に落ちてしまった。それは一瞬でありすぐにだった。
二匹は意識を戻して電線の上に戻ったが。
「何だあの音は」
「わしは今まであんな音聞いたことがないぞ」
「わしもだ」
ずいとん坊はシルクハットに言った。
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