歪んだ世界の中で
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第十四話 新しい道その十七
「そもそもお母さん自分で作ること少なかったしね」
「あの人達と違って」
「うん、全然ね」
とにかくだ。心がなかったというのだ。
「その朝御飯と比べたら」
「大叔母さん達のものは違いますか」
「凄いんだよ。これまではお茶漬けとかだけで済ましていたけれど」
「今はどうですか?」
「御飯にね」
主食だ。これがまずあった。
「それと若布とお豆腐のお味噌汁に」
「お味噌汁ですか」
「それと漬物があって」
目を細めさせてだ。希望は話していく。
「それに鰯の煮つけがあって」
「いいですね。朝から鰯ですか」
「それと海苔」
朝御飯の定番が続いていく。
「それと納豆もあったよ」
「ご馳走ですね。それもかなり」
「そうだよな。物凄く美味しかったよ」
「そうですね。それでは」
「それがおばちゃん達の朝のいつもなんだよ」
「では遠井君はこれからは」
「朝から凄く幸せだよ」
楽しいどころではなかった。さらにいいものだった。
「いや、だから今もね」
「機嫌よくですね」
「登校できているんだ」
「ではこれからも」
「うん、楽しく登校しよう」
こう話してだ。そのうえでだった。
希望は登校する。校舎を見てもだ。彼は目を細めてこう言えた。
「暗いものだって思っていたけれど」
「今は違いますね」
「凄く明るいよ。二学期がはじまった頃よりももっとね」
「明るいですね」
「うん、明るくて奇麗だね」
今はだ。世界全てがそう見えていたのだ。
「これからこの世界で楽しく過ごすよ」
「では僕も」
真人は笑顔でその希望に言ってくる。
「その遠井君と一緒に」
「有り難う。僕達はずっとこれからもね」
「友達としてですね」
「一緒なんだね」
「何があっても」
二人で並んで登校しながらだ。希望も真人も目を細めさせ明るい日差しの中にいた。希望はまた一つ幸せを手に入れた。そのことを実感しながら進んでいた。
第十四話 完
2012・4・16
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