犬は夏は
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第二章
「それもかなりな」
「そうしないとふわりも暑いか」
「今話しただろ、犬は舌からしか汗をかけないんだ」
そうした身体だというのだ。
「それで犬は元々体温も高いんだ」
「だからか」
「余計に夏は辛い。しかもトイプードルは元々フランスの犬だ」
その産地についても言及した。
「フランスは日本よりずっと寒いんだ」
「そういえばね」
妻は夫の言葉に応えた。
「パリって宗谷岬より北だったわ」
「そこの犬だ、日本の犬じゃないんだ」
元々はというのだ。
「だからな」
「寒さに強いけれどか」
「暑さ、まして日本の蒸し暑い夏にはな」
「弱いからか」
「毛は刈るぞ、今度ペットサロンに連れて行く」
こう言ってだった。
文太はふわりを休日に近所のペットサロンに連れて行った、そうして実際に毛を短く刈ってもらった。
それが終わって家に連れて帰ると洋介も由里子もそのふわりを見て驚いた。
これまでのふわふわとももこもことも言える癖のある深い毛はなくなって丸刈りに近い形になりシルエットもはっきりわかった。
これまではないと思われていた目と鼻の間、マズルが結構あることがわかり足も確かに短いが思ったより長くしかも細く。
胴がわりかし太い、短い尻尾はさらに短かった。
その体型がわかってだ、二人は言った。
「ふわりってこんな体型だったんだな」
「思ったより目とお鼻の間隔あるわね」
「足も結構長いな」
「確かに短いけれど」
「それで細いな」
「胴体もがっしりしてるわね」
「尻尾こんなに短かったんだな」
そのシルエット即ち体型を見て言うのだった。
「口も大きいな」
「耳まであるわね」
「その耳も小さいな」
「毛がないとね」
「俺もはじめてわかった」
ふわりの正確な体型がとだ、文太も今のふわりを見て言った。
「ふわりはこうした体型なんだな」
「まるで別の犬だな」
「ああ、けれどこれがな」
「ふわりの本来の体型か」
「毛でわからなかったんだ」
それが深く長いと、というのだ。
「どうしてもな」
「毛に隠れてか」
「それでな」
まさにその為にというのだ。
「そうだったんだ」
「そういうことなんだな」
「ああ、それでこれで夏はな」
「ふわりも快適か」
「そうなった」
「そういえばな」
ここで洋介はこうも言った。
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