犬は夏は
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第一章
犬は夏は
今国崎洋介はふわりの動画及び画像を撮っている、それを後でユーチューブやインスタグラムに投稿するつもりだ。
その中でだ、洋介はふわりにピンクと白のタートンチェックのドレスを着せて同じ柄のリボンも付けていたが。
撮ることが終わってからだ、彼はふわりの服を脱がせて彼女に言った。
「ふわり、お疲れさん」
「ワンワン」
ふわりは鳴いて応えた、ふわり自身は機嫌がよさそうだが彼はこう言った、それで隣にいた母の由里子に言った。
「やっぱり犬に服ってな」
「毛が服でしょ」
母も答えた。
「そうでしょ」
「だからだよな」
「服の上から服を着てる様なものよ」
「やっぱりな、だからか」
「ふわりは着せてもらって嬉しいけれどね」
服を着せてもらっている間も着ている時も尻尾を振っていて表情も明るい、そうなっているのである。
「けれどね」
「一緒に遊んでると思ってか」
「可愛がってもらってるとね」
そう思ってというのだ。
「喜んでくれるけれど」
「基本はか」
「そう、もう着てるから」
服をというのだ。
「だからね」
「やっぱり服は着せない方がいいか」
「出来るだけね」
「暑いよな、やっぱり」
洋介は自分で考えて言った。
「服の上に服だと」
「しかも毛皮でしょ」
「余計にな、しかも」
ふわり自身を見てまた考えて言った。
「トイプードルは毛が深いよな」
「そうでしょ、だったらね」
「尚更だな」
「服はまだいいけれど」
「夏は辛いか」
「しかも犬は舌から汗かけないでしょ」
「そうした身体の構造だしな」
見れば今ふわりは舌を出している、それが何故かも言うまでもない。
「じゃあ余計にな」
「気を付けていきましょう」
「服を着せることも」
「そちらのこともね」
「あとだ」
ここで父の文太も言ってきた、夜なので気持ちよく酒を飲んでいたが今飲んでいるのは焼酎のロックだった。
「もう夏だ」
「暑いよな、ふわりも」
「だから毛を刈ってもらうぞ」
「ああ、トリミングか」
「短くしてもらうからな」
その毛をというのだ。
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