一緒に走った子犬と共に
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第一章
一緒に走った子犬と共に
レオン=ディナルドはスコットランド出身である。精悍な顔立ちで身体はスポーツ選手の様である。それもその筈で彼はいつも走っているのだ。
競技にも参加していて今はゴビ砂漠でなのかい渡って行われるマラソンに参加していた、初日を走り二日目もだった。
走ろうとスタートラインに着いたところで。
「ワンワン」
「?犬?」
見れば傍に茶色と白の毛で口が白い子犬が来た、子犬は。
スタートラインに来た、ディオナルドの傍にいた大会スタッフはこう言った。
「帰ってもらいますか」
「いいよ、何か僕と走りたいみたいだし」
ディナルドは申し出たスタッフに笑顔で応えた。
「だからね」
「いいですか」
「一緒に走るよ」
「そうですか、それじゃあ」
「うん、そういうことでね」
こう言ってその犬と一緒に走ることにした、二日目はずっと走った。ここで彼は完走した犬を見ると。
雌だった、そして首輪がなく野良犬の様だったのでゴビ砂漠で会ったことからゴビと名付けて一緒にいることにした。途中大会運営にこう言った。
「この犬をスコットランドに連れて帰っていいかな」
「手続きが複雑ですがいいですか?」
「いいよ、こうして巡り合ったのも縁だしね」
そんなことは構わないと返した。
「だからね」
「そうですか、では」
「うん、この娘はこれから一緒だよ」
「ワンッ」
ディオナルドの横にいた彼女も嬉しそうに鳴いた、そうしてディオナルドとゴビは最後の日まで一緒に走ってからスコットランドに帰った、それから一緒に大会に出たり旅行に行く様になったがスリランカに行った時に。
茶色の毛の子犬を見た、子犬を道行く人皆に人懐っこそうにしていた、だが中々振り向く人がいなかった。
だがそこで東南アジア系と思われる顔立ちの人達が子犬に近寄って言ったのを見た。
「野良犬かな」
「このままだとよくないな」
「折角僕達についてきたし」
「飼い主がいたらいいが」
「誰かいませんか?」
彼等はすぐに道行く人達に声をかけた、ディオナルドは自然に彼等の中に入ってゴビと一緒に呼びかけた、すると。
「なら私が」
「貴方がですか」
「飼わせてもらいます」
何と東南アジア系の呼び掛ける人達のところにいた口髭とターバンの男が言ってきた。
「この人達のバスの運転手チャンドラ=スアレスといいますが」
「そういえばこの人達はスリランカの人達じゃないですね」
「僕達はタイから来たんだ」
その人達も言ってきた。
「タイの象の救済団体のメンバーなんだ」
「タイを拠点に活動しているけれどね」
「象のいる国なら何処でも行くんだ」
「そして像を助けているんだ」
「だから今スリランカにもいるんだ」
「ああ、象はタイでは神聖な生きものでしたね」
ディオナルドは彼等の言葉からこのことを思い出した。
「仏教でそうでタイは仏教の国で」
「そういうことです」
「それでこの国でも活動していますが」
「この子犬を見ていて放っておけなくて」
「飼い主を呼び掛けたら貴方も来てくれました」
「私は飛び入りで。ですが飼い主になって頂けるなら」
そのスアレスに言った。
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