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レーヴァティン

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第二百八話 ライン川へその九

「それで要塞をあそこに置いているのは」
「水源がしっかりしていますね」
「実は」
「あの要塞の中に多くの井戸がある」
「だから水源はありますね」
「ああ、水源もあるからな」 
 それ故にというのだ。
「水を使うこともな」
「それが水源を絶つにしても水攻めにしても」
「どちらでもですね」
「難しいですね」
「どうしても」
「ああ、それをすることもな」 
 これもというのだ。
「しにくいからな」
「だからですね」
「それもしない」
「左様ですね」
「ああ、穴を掘るにしても」
 今度はこの攻め方を考えて述べた。
「要塞の堀は深いな」
「それもかなり」
「幅も広く」
「かつ極めて深いです」
「そう考えますと」
「穴を掘って攻めることもな」 
 要塞の中に出口をもうけそこから中に入って攻めるのだ、久志はこのやり方も知っていてそれで行っている。
「それもな」
「出来ないですね」
「かなり難しいですね」
「あの堀より深く掘るとなると」
「それもまた」
「ああ、クレバスみたいな堀だからな」
 その深さたるやというのだ。
「だからな」
「それも難しい」
「現実としてそうですね」
「そちらもまた」
「どうもな、工作員を送り込むのもな」
 そうして中を乱したり城門を開けさせたりするのだ。
「それもな」
「難しそうですね」
「守る者達の守りはかなり堅固です」
「あれを見ますと」
「要所は固めてしっかりと見ている」
 実際にその通りだった。
「それじゃあな」
「工作員を送り込むことも」
「それも難しいですね」
「例え術を使って身を隠しても」
「それでも」
「ああ、術への防御癖も凄くてな」
 これには相手の術を打ち消す効果もあるのだ。
「それでな」
「中々ですね」
「出来ないですね」
「これは」
「だからな」
 それでというのだ。
「ここはな」
「普通に攻めても」
「そうしてもですか」
「攻め落とせない」
「策を使っても」
「ああ、力攻めしても損害出してな」
 そうしてというのだ。
「それだけで攻め落とせるか」
「それはですね」
「出来ないですね」
「この要塞に対しては」
「無理ですね」
「ああ、ただ今言ったな」
 まさにとだ、久志はここでだった。
 笑ってだ、こう周りに話した。
「絶対に攻め落とせない城はないんだよ」
「砦も要塞もですね」
「絶対に攻め落とせないものはない」
「左様ですね」
「そう言われてどれだけの城や要塞が攻め落とされたか」
 それこそというのだ。 
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