虚空の魔導師
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第4話 魔法訓練
前書き
仕事にやっと休みが出たので、
合間に更新作業です。
まだまだ、自HPのほうの修正は終わってませんが兎に角、
こちらに引っ越しを優先します。
「良い天気だな・・・」
クォヴレーはなのは達の通う聖祥大附属小学校の最寄の公園で、はやてとともにの日向ぼっこをしていた。
暫くの間ゆったりとした時間を過ごし、ある時間が迫っている事に気付きはやてに声を掛ける。
「はやて、そろそろなのはを迎えに行くか?」
はやては眠ってしまっていたようで、俺の声に目を覚まし眼をシパシパさせながらクォヴレーを見上げていた。
(クォヴレーサイド)
「本当に良い天気だな・・・」
雲ひとつ無い空を見上げ、俺はこの世界以前の事を思い出す。
今まで戦い以外の思い出など殆どなかった俺には、こういう穏やかな時間は俺を俺たらしめる重要な要素であると認識している。
この次元に呼ばれた以上何かしら原因があるとは思うのだが、いかんせん情報が少ない。
暫くはジュエルシードを集めて情報収集をメインに行動する事にした方が懸命だろう。
当然、その間はやてやなのはの身の安全を第一にするつもりだ。
・・・そういえば、この世界で最初に出会ったあの金髪の少女は、どうしているだろうか。
何故か彼女、なのはの話ではフェイトと言ったか、彼女に対して同調性を感じているのだ。
・・あの時は咄嗟に迎撃してしまったが、今度会った際に話をしてみるのも良いかもしれない。
《クォヴレー、高町なのはがこちらに向かって来ている。》
『分かっている。』
なのはやはやての魔力は比較的判断しやすい。魔力量が膨大な上に魔力の色というのだろうか、気配でもそれが明確に分かるのだ。
それが俺だけの能力なのかどうかなのかは解らないが。
タッタッタッ
「クォヴレー兄さん!」
俺を呼びながらなのはが走って来る。
肩にはユーノの姿も確認できる。
再び合流した俺達は今後の方策を煮詰めるつもりだったのだが、突然なのはが特訓をして欲しいと言い出し、一旦中断する事になった。
「一体どういう事だ?」
なのはは怖ず怖ずと訳を話し始めた。
なのはの話を要約すると、昨日、俺がフェイトに勝ったのを見て稽古をつけて欲しいと思ったらしい。
「・・・何故そこまでしてフェイトに勝ちたいのだ?」
「私はフェイトちゃんと友達になりたいの!その為にはどうしても勝たなきゃいけないの!」
なのはは真っ直ぐな視線で俺を見詰めてくる。
・・・彼等を、かつての仲間を彷彿とさせる目だな・・・
魔法の戦闘でのシュミレートにもなるし、こちらのデメリットは―――特に無いな。
「フッ、良いだろう。了解した。」
「差し当たり、戦う場所を確保しなければな。」
「それなら僕が結界を張ります。その中なら魔力が漏れる事もありませんし、一般の人にも視認される事はありません。」
それならば管理局にもばれる事はないか。いざとなれば俺が張れば良い。
(空間を微妙にずらす事で魔力遮断が可能な事を確認した)
『イングラム、アストラナガンの武装を彼等、魔導師が使う【非殺傷設定】にする事は可能か?』
『ある程度は可能だ。確かに模擬戦闘で殺傷能力は必要ないからな。
しかし、【アイン・ソフ・オウル】は元よりディス・レヴをオーバードライブさせなければ使えない技だからな、どちらにしても出力不足で使用不可能だ。
【メス・アッシャー】も対象をグレートアトラクターに送り込む技、これも同じく設定不可能だ。』
『・・・【メス・アッシャー】も使用は避けた方が良いか。』
『無難な選択だな。』
念話を終えた俺達は戦闘訓練を行うべく、ユーノが張った結界の中に足を踏み入れた。
(なのはサイド)
私は結界内に入って直ぐにバリアジャケットを展開した。
クォヴレー兄さんも今からバリアジャケットを展開するようだ。
「イングラム、バリアジャケット展開。」
(クォヴレー兄さんは管理局対策としてイングラムの事はインテリジェント・デバイス、
ディス・アストラナガンの姿の事はバリアジャケットという事で統一すると言っていた)
《了解した。》
クォヴレー兄さんのデバイス「イングラム」が輝き、クォヴレー兄さんを肥大化していくクリスタルの中に取り込んだ。
私がア然としていると、クリスタルにヒビが入り砕け散った。
するとそこには全身を覆う金属的なバリアジャケットの中で、頭部だけを露出させたクォヴレー兄さんの姿が目に入る。
《バリアジャケット展開終了。》
すごい派手な演出だね・・
・・・私も人の事言えないけどね(苦笑)
私は改めてクォヴレー兄さんのバリアジャケット姿を見る。
黒と金を基調としたメタリックな全身。金属製の翼を広げる姿はクォヴレー兄さんの容姿も相まって何処か現実離れした印象を受ける。
「さて、始めるか?俺の方も非殺傷設定でいくから安心しろ。」
「う、うん!」
私がぽ~と見とれていたら、急に声を掛けられたので思わずどもっちゃった。
「よ~し!いっくよ~!!」
まずは小手調べ!私は魔力を込めてディバインシューターを放つ。
「・・ディフレクト・フィールド展開。」
《ディフレクト・フィールド展開完了。》
パシィィィィン!
あ、あれ?あっさりと見えないシールドに防がれちゃった。
「なのは、本気でやらなければ訓練の意味が無いぞ?」
えぇ!?結構魔力込めたんだけどな・・(汗)
「では、今度はこちらから行くぞ。ラアム・ショットガン!!」
ドゥン!ドゥン!
クォヴレー兄さんは少し間をとった後、腰の銃らしきものを引き抜くと、連射してきた。
「し、シールド!」
迫りくる砲弾を間一髪シールドで防御し・・
!?
お、重い!!
何とか防ぎきったものの、弾丸の威力に押されクォヴレー兄さんから大分離されてしまった。
「ガン・スレイヴ、リフトオフ!」
《ターゲットロック。》
「行け!!」
計6基のガン・スレイヴが縦横無尽に展開し迫ってくる。
にゃ~~!目で追いきれないよ~!!
ガガガガガ!!
今はとにかく防御に専念して、チャンスが来るのを待つ。全力でディバインバスターを放てばあのシールドも破れるはず!
「なのは。」
クォヴレー兄さんがガンスレイヴに攻撃を続けさせながら、私に話し掛けてきた。
「己が特性を理解し、相手の隙を伺う事は戦略としては一つの手だ。しかし、相手の攻撃に隙がなければどうする?このままではジリ貧だぞ?」
!?
攻撃の威力が増した!?
「う、う~~~~~~!」
パリィィィィィィィン!!
シールドが!?
「っ!」
私は直ぐに来るだろう衝撃を想像し、思わず目をつぶってしまった。
・・・・?
何時までも衝撃が来ないので、私は恐る恐る目を開けた。
すると、目の前に銃の柄の部分を突き付けたクォヴレー兄さんの姿が目に入った。
「チェックメイトだ。」
「・・・負けちゃった~」
何にも出来なかった。
悔しいなー・・・
「・・・勝つつもりだったのか?」
「・・うん、やるからには勝ちたいと思った。」
クォヴレー兄さんの表情が少し驚きに染まり、やがて苦笑に変わる。
「なのはは良くやっている。魔法を知って数日で此処まで出来るのは、なのはの努力が結実しているからだ。」
クォヴレー兄さんが頭を撫でてくれる。
《それに『悔しい』と思う事は、成長するには必要不可欠なファクターだ。》
・・・これは慰めてくれてるのかな?
私は先程より気分が晴れているのを感じた。
「・・・続きをやるか?」
「うん!」
私達は再び赤くなりつつある空に舞い上がった。
(はやてサイド)
私の見ている上空でクォヴにぃとなのはちゃんの2人が魔法の打ち合いを続けている。
私には地上から見てることしか出来へんけど、離れて見てるからこそクォヴにぃがメチャクチャ強いことがよく分かる。
なのはちゃんに対しても容赦ない様に見えて、ちゃんと加減できる間合いを取っているし、何より全部寸止めしているのが分かるのだ。
・・・・私、なのはちゃんに嫉妬しとる。
クォヴにぃと同じ空を飛べるなのはちゃんが羨ましいんや・・・
私もいつか魔導師になったとしたら、クォヴにぃの隣にいられるんやろうか。
今の車椅子の世話になっている現状では、期待よりも不安が先行してしまう。
・・・いや、きっと同じ空を飛んでみせる。
・・・?
急に戦闘音が止んだので空を見上げると、2人が戦闘訓練を終え空から降りてくる所だった。
「クォヴにぃ、お疲れ様。はいタオル。」
「ああ。」
「はい、なのはちゃんも。」
「あ、ありがとう・・・」
2人に持っていたタオルを渡す。特に汗をかいている訳ではなかったが、2人はバリアジャケットを解除して受け取ってくれた。
それにしても、なのはちゃんは凄く消耗しているみたいだ。
傍目から見ていても足取りが危ういのが分かる。
「大丈夫か?なのは?」
当然、クォヴにぃにもそれは分かっていた。
「ちょ、ちょっと疲れただけ・・・にゃはははは・・・」
ちょっとどころじゃないみたいやな・・・(汗)
「あ・・・」
言ってるそばからフラついて倒れそうになる。
すかさずクォヴにぃに抱き上げられている。
お姫様抱っこで・・・
「にゃ~~~~~~~~!!」
さすがになのはちゃんもあの格好は恥ずかしいらしい。
けど今はそれよりも、あそこは私だけの場所なのに!!
私の闘争心に火がついた瞬間やった!
・・・なのはちゃんはライバルや!!
なのはちゃんも私の気配に気がついたのか、私の顔を見て顔を赤らめながらもクォヴにぃに抱きつく力を強めた。
っ!?
私はなのはちゃんに鋭い視線を向ける。
なのはちゃんも同じように鋭い視線を向けてくる。
バチバチと火花が見えた気がした。
なのはちゃんは大切な友達やけどクォヴにぃの隣だけは譲れへん!!
しばらく睨み合っていたが、クォヴにぃが移動し始めたために中断した。
「どこに行くんや?クォヴにぃ?」
「・・もうあたりも暗い。なのはを送っていく。」
確かに時計はもう6時を回っている。
小学生が1人で帰るには物騒かもしれない。
私らはとにかくなのはちゃんの家まで送っていくことにした。
なのはちゃんをお姫様抱っこにしたままで・・
「にゃ~~~~~~~!!降ろして~~~~!!」
おまけ
はやてとなのはが睨み合っていた時、クォヴレーとイングラムは2人の背後に腹を軽快に叩く狸と
赤っ鼻に髭を生やした某アラブ風太っちょ大魔王(何故か目の部分に黒い横線が入っている)の姿が見えた気がした。
《「・・・・・・・・・・・(汗)」》
今まで強大な敵と相対したときよりも、別の意味で消耗している二人であった。
TO BE CONECTED
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