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猫も家族が欲しい

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第一章

                猫も家族が欲しい 
 アメリカのニューヨーク州に住むステイシー=キャンメルはこの日家族と一緒にレストランでのディナーに向かっていた。三人共正装であった。
 レストランの最寄りのバス停で降りてそこから店に向かっていると。
 その途中で一匹の猫に出会った、猫は薄いクリーム色の毛で随分と丸く大きな目であった。その猫がいきなり。
 優しい顔立ちで青い目、くすんだ金髪の彼女の胸に飛び込んできた。
「ニャア」
「随分元気のいい猫だな」
「そうね」
 夫のトーマスと娘のキャロルも言ってきた、夫の目も青で髪の毛は茶色であり背は高い。娘の顔は母親にそっくりだ。夫は証券マンでステイシーは在宅の仕事を持っている。
「この子は」
「野良猫みたいだけれどな」
「いきなりお母さんの胸に飛び込んできてね」
「そうね、けれど今からディナーだから」
 ステイシーはまんざらではなかったがそれでもこう言った。
「この子の相手は出来ないから」
「置いていくか」
 夫が妻に言った。
「それじゃあ」
「ええ、そうするしかないし」
 こう夫に返した。
「だからね」
「今は仕方ないな、ディナーに行くし」
「レストランには連れて行けないし」
 それでというのだ。
「それじゃあね」
「今はな」
「機会があったらまた会いましょう」
「じゃあ機会があったら」
 ここで娘が言ってきた。
「この子うちで飼う?」
「家族にするの」
「そうする?」
「そうね、うちは今ペットもいないし」
 母は娘の言葉に頷いた。
「それじゃあね」
「ええ、じゃあね」
「考えておくわ」
 この時は軽く言って猫を歩道に戻してレストランに向かった、それでレストランの中で美味しいディナーを楽しんだが。
 ふとだ、ステイシーは。
 レストランの窓に猫を見た、何と先程道で自分に飛びついてきた猫だ、その猫がだ。
 窓のところに前足をかけてそうして自分達の方をじっと見ていた、それを見てだった。
 ステイシーも驚いたがそれを見て夫も娘も言った。
「ずっとついてきたんだな」
「そうみたいね」
「余程僕達のことが気に入ったのかな」
「家族になりたいのかしら」
「そうね、さっき機会があったらって言ったけれど」
 ステイシーも言った。
「だったらね」
「ああ、食べ終わったらな」
「あの子うちに連れて帰ろう」
「そうしましょう」
 家族の言葉に頷いてだった。 
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