イベリス
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第九話 部活も入ってその十一
「奈良や京都も」
「知らないね」
「神戸も堺も」
「僕もだよ、本当に関西はね」
「知らないですね」
「そうだね」
「漫画読んでいても」
咲は漫研らしくこちらの話もした。
「関東はわかりますが」
「関西が舞台だとだね」
「何が何か」
「僕もじゃりん子チエとかミナミの帝王とか読んでもね」
「どっちも舞台大阪ですね」
「全然わからないよ」
「私もです、司馬遼太郎や織田作之助や開高建は大阪の人らしいですけど」
今度は文学の話をした。
「何が何か」
「わからないよね」
「やっぱり」
「それが普通だね、東京にいたら」
「住んでいるからですね」
「自然と詳しくなるよ」
部長もこう言った。
「渋谷とか原宿とかあるしね」
こうした地域の名前も出した。
「もうそれぞれの区が大きな街で」
「凄いですね」
「伊達に一千万もいないよ」
東京の人口の話もした。
「だからね」
「色々な場所があって」
「色々な場所にすぐに行けてね」
「楽しめますね」
「いい場所だよ」
「そうですね」
「だから僕も楽しんでるし」
それでとだ、部長は咲にさらに話した。
「小山さんもね」
「そうしていいですね」
「是非ね」
「私もそう思うし」
ここで三年生の女性部員も言ってきた。
「だから小山さんもね」
「楽しんでいいですね」
「というか楽しまないとね」
「駄目ですか」
「ええ、人間生きていたら」
それならというのだ。
「幸せに楽しくね」
「生きないと駄目ですか」
「いい人ならね」
この部員は咲にこうも言った。
「平気で生きもの捨てたり騙す様だとね」
「生きていてもですか」
「駄目だと思うけれどね」
「悪人は、ですか」
「悪人というか屑ね」
この部員は咲に悪人ではなくこちらになると言った。
「この場合は」
「屑ですか」
「そう、ドキュンとかいるでしょ」
「世の中には」
「ヤクザ屋さんとかね、他にも生きているだけで害毒と迷惑ばかり撒き散らす人」
「この世の誰の為にもならなくて」
「親戚で一人位いるでしょ、そうした人」
咲にさらに言った。
「ヒス起こして喚き散らして暴れてエゴばかりで強欲で図々しくて無遠慮で自分は何もしないしかも執念深くて自分がしたことには全く平気な人」
「最低ですね」
「そんな人いるでしょ」
「私の親戚にはいないです」
咲は実際に心当たりがなくてこう答えるしかなかった。
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