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井戸に落ちた犬達

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第一章

                井戸に落ちた犬達
 インド北西部ウダイブルを中心として活動する動物保護団体がある、その団体のスタッフ達に連絡が入った。
「えっ、犬が井戸に」
「井戸に落ちたんですか」
「それも底まで二十メートルはある井戸ですか」
「それは大変だ」
「そういえばインドではですね」
 ここで日本から来ていた小笠原澄江が言った、黒髪をショートにしていて大きな優しい目と細い眉を持っている。背は一五四程でほっそりとしたスタイルである。
「井戸が多いですね」
「川や池の水もそのまま使っているよ」
「そうした地域が多いよ」
「まだまだね」
「そこは日本と違うよ」
「そうですね、それで今回みたいなこともある」
 日本ではなくインドの事情を考えて言った。
「そうですね」
「人が落ちる時もあるし」
「井戸には気をつけないとね」
「それじゃあね」
「これから助けに行こう」
「そうしていこう」
「わかりました」 
 インド人のスタッフ達の言葉に頷いてだった。
 澄江は彼等と共に現場に向かった、すると。
 大きな井戸の底を照らすとそこに犬がいた、その姿を確認してだった。
 彼等はロープを用意して最も泳げるスタッフが命綱にしてそれを使って井戸の中に降りてそうしてであった。
 犬を抱いてそのまま引き上げてもらって救助した、見れば。
 犬は白い毛でやや垂れ耳の足が細いやや大な犬だった。飼い主によれば名前はピーシャといって雄だった。
「クゥ~~ン・・・・・・」
「泳げるみたいだが弱ってるな」
「井戸の中に落ちて結構経ってるみたいだし」
「あと少し救助が遅れたら危なかったかもな」
「助けかってよかった」
「じゃあ飼い主の人のところに戻してあげよう」
 こう言ってだった、そしてだった。
 スタッフ達は救助が成功したことを喜んだ、澄江もその中にいた。
 そして暫く経ってだった、まただった。
「今度はパンジャブですか」
「そこでだよ」
「また犬が落ちたんだ」
「井戸の中に」
「今度は二匹の子犬だ」
「もう空井戸らしいけれどな」
「それでもそのままだと駄目だ」
 井戸の中には何もない、それでは餓死してしまうのは言うまでもない。それで今回も救助に行くことになった。
 それでだ、澄江は今回も同僚達と共に救助に向かった、そして今回は大きな井戸なので澄江は他の二人と一緒に井戸の底に降りたが。
 そこには茶色の子犬と黒の子犬がいた、そして。
「まずいですね」
「コブラか」
「しかもキングコブラか」
 他のスタッフ達も言った、井戸の底にはだ。
 寄り添い合って怯えている子犬達の横にコブラもいたのだ、コブラはとぐろを巻いてそのうえで頭を上げている。 
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