イベリス
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第九話 部活も入ってその五
「あのチームは」
「私も嫌いよ」
「私もよ」
「今時巨人ファンなんていないでしょ」
「何もわかってないか昔からの人だけでしょ」
「若い人は皆嫌いでしょ」
「そうよね、巨人なんてね」
咲もこう言った。
「もう今更よね」
「万年最下位のカスチームよね」
「セリーグいや球界のお荷物よね」
「今やそうよね」
「いいとこなんて全くない」
「そんなチームよね」
「そうよね」
まさにとだ、咲は皆の言葉に頷いた。
「あのチームは」
「ええ、それで小山さん応援してるチーム何処?」
「それで何処なの?」
「何処応援してるの?」
「私はヤクルトよ」
クラスメイト達に正直に答えた。
「あのチーム好きなの」
「ああ、ヤクルトね」
「ヤクルトいいわよね」
「清潔な感じもするしね」
「そうよね」
「東京のチームだから」
そのヤクルトがだ。
「東京人だからね」
「そうそう、地元だとね」
「やっぱり応援するわよね」
「関西は阪神でね」
「広島は広島で」
「まあ実は私阪神ファンだけれど」
ここで一人がこう言った。
「それもかなり好きだけれど」
「それ私もよ」
「私も阪神ファンよ」
「私だってそうよ」
「私もそうよ」
「えっ、阪神ファン多いわね」
これには咲も驚いた。
「東京なのに」
「だってね、何か違うから」
「他のチームとはね」
「勝っても負けても華があるし」
「絵になるから」
「だからね」
「阪神好きになるのよ」
所謂虎キチの子達は口々に答えた。
「あんなチーム他にないから」
「時々信じられない負け方するけれど」
「ネタも提供するけれど」
「それでもね」
「いいチームなのよね」
「絵になるから」
「強い弱い越えてるってことね」
咲はここまで聞いて阪神とはどういったチームなのかを言った。
「つまりは」
「最近毎年日本一だけれどね」
「巨人には毎年二十勝以上して」
「それでいつも蛸殴りにしてるけど」
「虎だけれど」
それでもというのだ。
「けれどそれがなくてもね」
「やっぱり阪神って魅力あるのよ」
「強さ弱さを越えたね」
「それがあるのよ」
「そんなチームって阪神だけよね」
咲の口調はしみじみとしたものとなっていた。
「本当に」
「野球じゃなくてもね」
「サッカーでもね」
「そんなチームそうそうはないわね」
「日本にはないわね」
「多分他の国でもね」
「普通勝ったらよくて」
咲はまた言った。
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