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イベリス

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第八話 速水の訪問その八

「折角うちに来てくれるんだからな」
「大切なお客様だしね」
 母もまた言った。
「だからね」
「そんな簡単にはいかないぞ」
「簡単じゃなくてそんな必死にならなくても」
 それでもとだ、娘はまた両親に話した。
「別にいいじゃないってことよ」
「そういえばあんた普通の服ね」
 母はここで咲の今の服装を見た、青のブラウスに白のスラックスといったものだ。
「今も」
「当然でしょ」
 これが咲の返事だった。
「そんなの」
「当然なの」
「そうよ、だって普通にお家に来てもらって」
 そうしてというのだ。
「お話聞いてね、それでこっちも」
「お話をするから?」
「相手が有名人でもね」
 それでもというのだ。
「特にね」
「畏まることないの」
「そうでしょ」
 こう母に言うのだった。
「何で二人共そんな必死なのよ」
「そう言われてもな」
「やっぱり雑誌でも出てる様な人だし」
「雑誌に出ていても」 
 それでもとだ、咲はさらに言った。
「おかしな人もいるしゃない」
「それはね」
「そうよね」
「モコみたいな子だってね」
 ここで家族である彼女を見た、モコは今は開けっぱなしのケージの中で気持ちよさそうに眠っている。
「有名人でも捨てる人いるでしょ」
「そんな奴いたら教えろ」
 父は娘の言葉に本気の怒りを見せて言い返した。
「お父さんが成敗してやる」
「成敗なの」
「ネットで拡散するなりしてな」 
 そうしてというのだ。
「社会的に抹殺してやる」
「命を粗末にするなんて許せないわよ」 
 母も本気の怒りを見せていた、そのうえでの言葉だった。
「そんな人達は絶対に許せないわ」
「ああ、神戸の人達だけれど」
 咲はすぐの両親に彼等の話をした。
「百田さんってね」
「わかった、すぐにネットで拡散してやる」
「社会的に抹殺してやるわ」
 二人は本気で早速自分達のツイッターやフェイスブックで拡散した、命を粗末にする輩こそ生きてはならないのだ。そんな輩の命こそ抹殺すべきである。
「世の中無駄な奴はいなくていいのよ」
「だからこうしてやる」
「そうよね」
 咲も無表情で神戸にいるその夫婦の情報をネットで拡散した。そのうえで両親に対して穏やかな顔で述べた。
「私もそうしたわ」
「命を粗末にする奴は粗末にするな」
「飼育放棄のうえに保健所送りなんて最悪よ」
「子供が生まれたら飼育放棄か」
「それでいらないなんてどうなのよ」
「モコがそうなったらッて思うとな」
「こうしないといられないわ」
 夫婦で神戸のその夫婦の情報を拡散した。
「ツイッターでもフェイスブックでも拡散してやったわ」
「さて、どうなるかな」
「生きて来たことを後悔するかしら」
「やっぱり屑はそこまでしないとね」
 咲はネットで友人達にまで知らせて述べた。
「屑にはね」
「そうだ、屑は容赦するな」
「その人生を壊してあげないと駄目よ」
 二人で娘達に真顔で話した。 
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