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イベリス

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第八話 速水の訪問その七

「けれどね」
「寝ることですね」
「それがね」
 まさにというのだ。
「うちの部活のね」
「決まりなんですね」
「他にもあるけれど」
 それでもというのだ。
「まずはね」
「このことをですね」
「守ってね」
「わかりました」
「部活は健康的に」
 咲にこうも言った。
「だからね」
「それで、ですね」
「ちゃんと寝てね」
「わかりました」
「あと僕の名前は」
 今度はこの話だった。
「宮本空悟っていうんだ」
「宮本先輩ですか」
「そうだよ、ちなみに部長だよ」
「そうでしたか」
「だから宜しくね」
「はい、お願いします」
「そういうことでね、じゃあこれからね」
「この漫研で」
「楽しんでいってね」
「わかりました」
 咲も笑顔で応えた、そしてだった。
 咲は漫研に入ることもした、そうして。
 速水が家に来る日になるとだ、両親は口々に話した。
「もうすぐだな」
「そうよね」
「速水さんが来られるな」
「うちにね」
「お菓子用意したよな」
「お茶もね」
 母は父にすぐに答えた。
「用意したわ」
「そうか」
「だからね」
「もう何時来られてもか」
「大丈夫よ」
「それは何よりだ」
 父は妻の話を聞いて笑顔で応えた。
「準備万端だな」
「もうね」
「何必死になってるの?」
 咲はそんな両親に問うた。
「速水さんが来られるだけで」
「だからね」
 母が娘に言った。
「物凄く有名な占い師さんよ」
「しかも咲きを雇ってくれるんだぞ」
 その面接だからだとだ、父も話した。
「そりゃ必死になる」
「それは当然でしょ」
「というかあんた随分落ち着いてるわね」
「いいのか?」
「いいも何もね」 
 咲は至って落ち着いて話した。
「別に天皇陛下が来られるんじゃないから」
「だからか」
「落ち着けばいいの」
「お茶とお菓子用意したら」
 それならというのだ。
「もうね」
「それでいいのか?」
「あんたとしては」
「後は礼儀正しくして」
 そしてというのだ。
「速水さんとお話すればいいでしょ」
「いや、そういう訳にはいかないだろ」
 父はあっさりとして言う娘にこう返した。 
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