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レーヴァティン

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第二百六話 冬の進軍その一

               第二百六話  冬の進軍
 騎士団領との戦の準備は進んでいった、騎士団領の中のチロルやウィーン西方の騎士団や都市や村が次第に帝国についていってだった。
 騎士団領への本格的な進軍の用意が整ってきていた、だが。
 その状況をローマで見てだ、久志は眉を曇らせて言った。
「やっぱり戦はな」
「冬だな」
 芳直が応えた。
「進軍のはじまりは」
「急がせてもな」
「戦の用意もだ」
「秋には間に合わないな」
「それは無理だ、そして億が一秋に戦をはじめられてもだ」
「戦は冬まで続くな」
「どちらにしても戦は冬に行われる」
 このことは避けられないというのだ。
「どうしてもな」
「そうだな、春まで待つのもな」
 久志はその選択肢も述べた。
「それもな」
「今はだな」
「することはな」
 どうにもというのだ。
「どうもな」
「敵は今以上に守りを固める」
「その冬の間にな」
「そうなればな」
「冬での戦よりもな」
「辛いことになるな」
「そのことが予想されるからな」
 それ故にというのだ。
「この冬にだ」
「戦をすべきだな」
「季節を待つか時期を待つか」
「今は時期だな」
「今ここで攻めてこそだ」
「損害も少ないな」
「敵は準備を進めているが」 
 戦のそれをというのだ。
「しかしだ」
「それはまだ充分じゃないな」
「冬に入ってもな」
「まだ充分じゃないな」
「そうだ、そして王国や連合王国の用意もな」
 この二国の戦のそれもというのだ。
「まだだ」
「不十分だな」
「その二国には悪い噂を散々流したよ」
 淳二が言ってきた。
「それでね」
「三国の仲にヒビは入れておいたな」
「お互いに不信感を抱いてね」
 そうなる様に仕向けてというのだ。
「今はね」
「同盟を結んでいても」
「連携は上手くいきそうにないよ」
「そうだな、けれどな」
「そう、それでもね」
 そうしたことをしておいてもというのだ。
「やっぱり戦の時期はね」
「見逃すべきじゃないな」
「ここで攻めることは」
 冬にというのだ。
「おいらも賛成だよ」
「そうだな、じゃあな」
「攻めようね」
「冬にな」
「そうしようね、しかし」
 ここで淳二はさらに言った。
「冬の備えもしておいてよかったね」
「ああ、毛皮とか用意してな」
「それで靴もだよ」
 これもというのだ。 
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