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おぢばにおかえり

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第六十四話 阿波野君と先輩その二十三

「ああして馴れ馴れしいのかしら」
「そこをわかったら千里はまた一つ成人してるわ」
「そうなのね」
「ええ、だからそうなる様にしてね」
 私に笑顔を向けて言ってくれました、ですが私はお母さんの言っている言葉の意味がどうしてもわからずに思うのでした。
「全然わからないけれど」
「だからわかる様になればね」
「成人しているの」
「そうよ、だから彼のことはよく見て大事にしてね」
「わかったわ」
 先輩としてです、私はお母さんに答えました。
「これからもね」
「ええ、それじゃあ今度なのね」
「阿波野君と先輩がこの教会で会うから」
「お茶とお菓子も用意しないとね」
「お饅頭がいいかしら」
 お菓子と聞いてです、私は言いました。
「やっぱり」
「そうね、丁度ゼリーがあるから」
「ゼリーなの」
「和風のね」
「あっ、お茶菓子によくある」
「それがあるの。山月堂から頂いたの」
 この町にある老舗の和菓子屋さんでうちの教会の信者さんでもあります、それでよくお菓子をお供えしてくれるのです。
「あちらからね」
「いつも悪いわね」
「お陰でうちはいつもお菓子には駒わないからね」
「こうした時もね」
「だからね」 
 それでというのです。
「お菓子はあるから」
「出すものに心配はいらないわね」
「結構なことにね」
「本当に結構な、じゃあね」
「お茶もあるし」
「あとは先輩と阿波野君が来たら」
 その時にです。 
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