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イベリス

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第八話 速水の訪問その二

「もう二度とね」
「部活に入らない」
「そうなった人もいるのね」
「それ完全にトラウマになってるわね」
「間違いないわね」
「普通こんな先生クビだけれど」
 咲は腕を組んで首を傾げさせて述べた。
「実際にね」
「そんな先生もいるのね」
「朝鮮労働党にいそうな人が」
「ヤクザ屋さんと変わらない人が」
「そうみたいね、それでその部活辞めようとしたら」
 暴力が嫌だからなのは言うまでもないとだ、咲は話していて思った。
「親が続けろとか言うそうだし」
「それ駄目でしょ」
「DV男と一緒にい続けろって言うのと同じでしょ」
「その先生の暴力で怪我したらどうするのよ」
「取り返しつかないでしょ」
「それで余計に嫌になってもう無理に部活辞めて」
 そうしてというのだ。
「もうそれからね」
「部活を二度としなかった」
「先生に暴力受けて親に続けろって言われて」
「それならもう最初からしない」
「そうなったのね」
「そんな話も聞いたわ、東京じゃないらしいけれど」
 この話はというのだ。
「けれどね」
「そんな先生もいるってことね」
「何発も殴ったり蹴ったりする先生」
「無茶苦茶な暴力を振るう先生いるのね」
「この先生生徒を床の上で背負い投げしたりもしたそうだし」
 咲はこの話もした。
「普通柔道の技って畳の上でするらしいけれど」
「それ最悪死ぬわよ」
 クラスメイトの一人、茶髪をショートにした背の高い娘が真顔で答えた。
「冗談抜きで」
「そうなの」
「私のお兄ちゃん柔道やっててね」
「柔道のこと知ってて」
「私にも色々言うけれど」
「畳の上でするものなのね」
「それがクッションになるから」
 柔道の技を仕掛けた時にだ。
「絶対なのよ」
「そうなの」
「若し床の上で技仕掛けたら」
 その時はというのだ。
「本当にね」
「死ぬこともなのね」
「そう、あるわ」
 その可能性があるというのだ。
「下手したらね」
「じゃあその先生は」
「確実に暴行罪ね」
 そのクラスメイトは断言した。
「傷害罪になりかねないし」
「殺人もあるのね」
「普通にね、それうちのお兄ちゃんに話したら」
「どう言うのかっていうのね」
「絶対に怒るわよ」
 そうなるというのだ。
「だって本当にね」
「死ぬかも知れないから」
「そうしたお話だから」
 それ故にというのだ。
「柔道の技は危ないっていつも言ってるから」
「人を投げたり締めたりするから」
「だから誰にも遊びで技かけないのよ」
「危ないから」
「そう、しかしよくその先生警察に捕まらないわね」
 クラスメイトの言葉は完全に呆れたものになっていた、そしてその呆れの中に明確な怒りもあった。 
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