夢の雫
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第二章
「蜜酒を飲む用意をしておくか」
「俺もだな、とっておくの干し肉だが」
トールも確信して言った。
「俺と家族で食うか」
「そんなにいいお肉なのね」
「見るからに美味そうだ」
そうした肉だというのだ。
「実際にな」
「ではね」
「うむ、食う日を楽しみにしておく」
「それと言っておくぞ」
ロキはフライヤにこうも言った。
「相手はオーディンは止めておけ」
「オーディンはなの」
「そうだ、あいつだけは止めておけ」
こう言うのだた。
「絶対にな」
「それはどうしてかしら」
「それは俺よりも女好きだからだ」
「それは私も知っているわ」
「そうだな、ならな」
「オーディンは関係ないわ」
一切とだ、フライヤも答えた。
「このこととはね」
「そうなのか」
「ええ、ではね」
「これからか」
「お祭りの時を楽しみにしておいて」
「それではな」
ロキは笑顔で応えてだった、トールと共にその場を後にした。二人だけでなく他のアスガルドの神々もこの話についてはフライヤがまた恋に落ちていたその関係で杯に雫を満たしていると思っていた。
そして祭りの時だった、神々はそれぞれお互いに贈りものをし合った、ロキもトールもそうしてフライヤもだった。
神々に贈りものをした、トールはフライヤから金の腕輪を受け取りロキは風を防ぐ衣を貰った。そして彼等もフライヤに贈りものをした。
そこでだ、彼等は話した。
「さて、あの杯だが」
「もうそろそろ出来ているな」
「祭りだからな」
「さて、ではだ」
トールはその髭だらけの雄々しい顔を微笑まさせて言った。
「あの杯はどういったものか」
「それをだな」
「見せてもらおう」
「さて、どの神に恋をして」
ロキは楽し気に笑って言った。
「あの杯を贈るか」
「あの雫は惚れ薬だな」
「間違いない」
ロキはこの時も確信していた。
「フライヤはそれをどの神に贈るかだ」
「問題はだな」
「そしてそれを相手に飲ませてな」
「そうしてだな」
「そこからな」
「フライヤ自身の美しさも使ってな」
「相手を魅了してだ」
そうしてというのだ。
「また恋を楽しむ」
「そうするな」
「それは俺かも知れないしだ」
ロキは腕を組んで楽しそうにこうも言った。
「あんたかも知れないぞ」
「俺も何度かフライヤと付き合ったがな」
「俺もだ、あいつは多情だからな」
「どの神もそうしているな」
「人間の英雄もな」
「そうした話にはこと欠かない女だ」
「そこがいいのだが」
それでもという口調での言葉だった。
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