イベリス
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第六話 入学式の後でその九
「何時でもね」
「あの、愛ちゃんお祝いの場でそう言うのは」
咲の母が姪にどうかという顔で言った。
「よくないわよ」
「いや、やっぱり人生山あり谷ありだから」
「それでっていうの」
「そう、困った時のこともね」
「言うの」
「そう、だから困った時はよ」
その時はというのだ。
「私を頼ってってね」
「そのお話の中身が問題よ」
「お祝いの場ではっていうの」
「そうよ、けれど咲はなのね」
「叔父さん叔母さんもいてね」
「愛ちゃんもいるから」
「頼っていいのよ。というか困った時に頼ってくれないと」
逆にというのだ。
「私怒るから」
「言わないとなの」
「一人で抱え込まないの」
咲に今度はややむっとした口調で告げた。
「嫌なこと、困ったことはね」
「お姉ちゃんやお父さんお母さんにお話して」
「そしてね。叔父さん叔母さんに言えなくても」
そうしたことでもというのだ。
「私に話せばいいから。私に話せなかったらね」
「お父さんお母さんになのね」
「話していってね」
「抱え込まないことなのね」
「そう、抱え込むなんて」
それこそというのだ。
「思い詰めてね」
「よくないのね」
「だからね」
「言うことね」
「私だってそうしてるのよ」
「お姉ちゃんもなの」
「そう、お父さんやお母さんやお兄ちゃんに話したり」
愛は咲に飲みながら自分のことも話した。
「それにお友達や先輩にもね」
「お話してるのね」
「そうしてるのよ。信頼出来る人にね」
「そうなのね」
「逆に信用出来ない人にはね」
「お話してないのね」
「ええ、そうしてるわ」
ワインを今も飲んでいる咲に話した。
「だから咲ちゃんもなのね」
「お話していいのね」
「そうよ、こっちも出来る限りはするし」
「じゃあ」
「その時はね」
愛は今も飲んでいた、そしてだった。
咲は両親それに愛と共に飲んで食べて楽しんだ、デザートのケーキも食べ終えた時咲はかなり酔っていたが。
風呂には入った、この時愛も言ってきた。
「一緒に入ろう」
「いいの?」
「いいのよ、すっきりしましょう」
風呂に入ってというのだ。
「それで帰るから」
「そこまで酔っていてかい?」
咲の父が愛に後ろから言ってきた。
「女の子一人酔って夜道なんて危ないよ、泊まりなさい」
「そうしていいの」
「いい、お家には叔父さんから話しておく」
愛に強い声で告げた。
「だから泊まりなさい」
「有り難う、おじさん」
「パジャマとお布団用意するわね」
咲の母も言ってきた。
「じゃあゆっくりしなさいね」
「私のお部屋で寝る?」
咲も咲で愛に言った。
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