少年と猫
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第一章
少年と猫
ザック=グロスはこの時ある場所を見て父のケリーに行った。
「お父さんあそこ」
「あれは」
父は息子の指差した方を見た、すると。
そこに子猫がいた、チーターの様な毛色であった。その猫を見て言った。
「猫か」
「一匹でいるね」
「母親とはぐれたのかな」
「そうかも知れないな」
「それじゃあ」
息子は父に言った、二人共黒がかった金髪であり黒い目だ、顔はよく似ているがまだ十歳のザックは小さい。
「助けてあげよう」
「そうするんだな」
「うん、だってこのままだと」
子猫が一匹だけならというのだ。
「危ないよね」
「そうだな、それはな」
「だったらね」
「家に連れて帰るか」
「そうしよう」
「よし、じゃあそうするか」
「そうしようね」
こう話してだった。
二人は子猫に近寄った、だが。
「シャーーー」
「怖がることないよ」
ザックは子猫に笑顔で話した。
「安心していいよ」
「母さんには連絡したぞ」
父が携帯を片手に横から言ってきた。
「是非な」
「うちに連れて来ていいんだ」
「そう言っている、じゃあ家に帰るぞ」
「それじゃあね」
「シャーーー」
猫はまだ威嚇していた、だが。
ザックは子猫に優しくキスをした、そうして父が運転する車に入ってからもずっと優しく抱き締めていた。そうして。
家に帰ると母のメアリー優しい顔のブロンドと茶色の目の彼女と三人で小猫を病院に連れて行ってだった。
診察を受けてもらってだった。
「雌だったね」
「そうね」
母が応えた。
「この娘は」
「じゃあ名前はアリエルにしよう」
雌だからというのだ。
「この名前にしよう」
「わかったわ、けれどずっとね」
ここでだ、母は。
アリエルを見た、見れば彼女は今もだった。
警戒して威嚇していた、その彼女を見て彼女を抱き締めているザックに言った。
「まだね」
「怒ってるね」
「大丈夫かしら」
こう言うのだった。
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