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酷い風邪なのに

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第二章

「寝てろ、今風邪だろ」
「ワン・・・・・・」
「戻れよ、それで寝てろ」
 こう言って彼を帰らせて学校に行った、これは父や母が家を出ても同じで。
 帰る時もだった。
 ルイは出迎えた、だが史郎は。
 その彼を両手で抱えてケージの中に入れて寝かせて毛布をかけてから言った。
「いいって言っただろ、風邪だから寝てるんだ」
「そうよ、そうした時はいいのよ」
 母もルイに言った。
「今は風邪を治しなさい」
「ワフウ・・・・・・」
 ルイもようやく頷いた、それから三日位はずっと寝ていて。
 ようやく回復した、それでケージから出た時に史郎は母に言った。
「全く、風邪の時は寝ていたらいいのに」
「それでもね」
「出迎えや見送りも」
 そうしたこともというのだ。
「しなくていいのに」
「そうね、けれど家族だから」
 だからだとだ、母は言った。
「そうしたのよ」
「そうなんだな」
「そうよ、いい子ね」
「そうだな、最初は色々あったけれど」
 子供の頃ルイが家に来てすぐの頃も思い出した。
「俺の靴の匂い嗅いだり」
「臭そうにね」
「言うことも聞かなかったけれど」
「今はね」
「欠かせないよ」
「私達の家族ね」
「そうだよ、じゃあ明日からまた散歩に行こう」
 今日はまだ安静だが、というのだ。
「ルイもそれでいいな」
「ワン」
 ルイは鳴いて応えた、風邪が治った彼は散歩に行きそうして家族を見送り出迎えた、家族の一員としてそうした。


酷い風邪なのに   完


                 2021・5・22 
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