【自作イラスト追加しました】ちゃちゃっと絵を描く能力で世界最強!~追放されたい俺を女神さまが放してくれない~
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結晶洞窟に遭遇したので絵を描いてみた
聞こえたその声は大体間違っていなかった。
四つ足の獣、それも大型犬のような大きさの牙をむく猛獣が、四匹ほどこちらに向かってくる。
風を切る音がして、こちらに走るにしては早い速度で近づいて来た。
「どうする? 俺の魔法が必要か?」
「あの程度なら私でも大丈夫よ」
そう言ってクレアが剣を構える。
そしてリセが魔法で弓を取り出して構える。
クレアがその動物に向かって剣を向けて飛び込む。
次々と切り裂かれ、圧倒的な力を見せる。
しかも魔法も使って完全にとどめを刺しているようだ。
今は炎であるらしい。
複数の属性を気軽に使いこなしているようだ。
そこでリセの矢が幾つも宙を飛ぶ。
よく見ると蝙蝠に似た魔物【バッドクラウド】がいたらしい。
音を消して飛んでくる、気づいた時には白い綿毛のようなその魔物に襲われるというのもあるらしい。
そして倒すと魔石が転がる。
魔物の核と言える、魔力の結晶だ。
そして倒されても一定期間個の魔石が放置されると、ダンジョン内の魔力を吸って再復活するらしい。
そのため魔石を手に入れたら、外に持ち出すことが推奨される。
なんでも外の環境はダンジョン内と違い、ダンジョンの生物が成人できないためただの魔力の結晶となるからだそうだ。
この魔石にはいろいろな性質があって、それらは魔道具……クレアの使っている剣やリセの使っている弓といったものだけでなくその他の日用品を作るのにもつかわれている。
また魔物が落とすのは魔石だけではなく、羽などの素材もそうだ。
ただ攻撃を受けた場合、核が自身を守ろうとする機能が働き、肉体を構成する成分も魔法として吸収してしまい、上手く倒さないと素材は手に入らないと言われている。
それを考えるとクレアとリセは、巧みな戦闘能力を持っていると言えるかもしれない。
そう思いながら何回か見たその剣技などについて俺は、
「別に俺、必要なくないか?」
なんかいかした質問にクレアが呆れたように、
「いてくれるだけでも安心よ。それに今後私達だけで対処できる敵が現れるとは限らないし」
「これだけ強いとな……この世界のお姫様はみんなこうなのか?」
「ん~、私が特に剣術や魔法が好きなだけよ。リセもそうだったし。と言ってもリセは魔法の方が得意だったかしら」
「そうなのか? じゃあ異世界転移者の方の得意技なのか? その弓って」
憑依すると得意なものが変わるのかと思って試しに質問してみると、リセは首を振り、
「能力の関係で常時、肉体強化魔法発動しているの。治癒魔法もね。もっとも普段の生活だとその辺の力加減は出来るんだけれど、【戦闘】になると強く力が入っちゃって、剣は根元から折れるし、投げただけでも槍は変な方向にグネグネ曲がるし、結局、弦の部分が自動再生する魔道具で何とか対応できるようになったのよ」
「外は美少女なのに中身はゴリラなのか」
「まあね。でも、貴方が下心満載の男でなくてよかったわね。もしそうだったら、宿で私が間違えて抱きついたのに気づいたら……まあ、異世界人は頑丈になっているらしいから大丈夫でしょう」
と言ってリセが笑うが、今のはなしだと下手をすると……そう、気づきたくない事に気づかされた。
やっぱり早めに別の異世界転移者に押し付けよう、でも他に暇そうで戦闘が出来そうな……いや、俺でもいいなら向いてない人でも……などと俺が考えて魔石や素材を回収して更に進んだ所で、驚きの光景を目にした。
「こんな俺の身長三倍以上の結晶……ええ、というかよく見たら、そこら中に宝石みたいな結晶がいっぱいついてる。何だこれ」
そこら中に、こちらの持っている明かりやダンジョン内の光(キノコや発行する虫、花など)によってキラキラと輝いて、幻想的な雰囲気になっている。
思わず見惚れてしまうような美しさだった。と、
「その名の通り結晶洞窟ね。確か宝石や、魔石も採掘できたはず」
リセが周りを見回しながら言い、次にクレアを見て、
「やっぱりクレアといるとボーナスが入るわね。ダンジョンの道はそこまで変化しないけれど、内部はこうやって結構変わって、まれにこういった魔石や宝石がいっぱい詰まった【ダンジョンの宝物庫】と呼ばれる場所が出るのよ。ここでは貴重な植物なんかも生えている事もあるけれど注意点がある」
「注意点?」
俺が聞き返すとリセが頷いて、
「自分が持って帰れるだけ、それこそリュック一杯程度とかそれくらいしか駄目なの。でないとダンジョンが【怒って】、危険な魔物を出してくることがあるわ。もっともそちらが好みなら、試してもいいけれど」
「俺、争いは好まないので」
「そう? 貴重な素材が手に入るかもしれないわよ?」
リセが楽しそうに誘惑するので俺が考え込んでいるとそこでクレアが、
「でも私、こんなのに遭遇したことは無いわ。本当に私だけの影響なの?」
「……リセ・ハートマインドの記憶によると、そういえば異世界転移者がいると遭遇しやすいって書いてあるわね。つまりリョウと私……私は憑依だからそこまで影響がないから、両方の影響かしら」
「異世界転移者……やっぱり何か色々おかしい気がする」
リセの言葉にクレアが頭を抱えている。
それを見ながら俺は、
「できればこの光景を紙にうつしたい。構わないか?」
「いいけれど、そんなに出現している時間が無いから、早くしてね」
そうリセに言われて俺は、
「じゃあ自分の力で模写じゃなくて能力を使うか」
時間が無いならそっちだと俺が思って魔法を使おうとするとリセが、
「? 模写も得意なの?」
「いや、そこまで上手くない。でも練習しないとうまくならないし」
「そうなの」
「そうそう、大体の絵が上手くなりたい人は、上手い人の絵を見て『その(画)力、(画)力をよこせぇえええええ。……さて、練習するか』って感じだから。俺も練習できそうな時は練習してる。特に今は元の世界の時間は止まったまま練習が出来る状態だからな」
そう答えて俺は、その光景を幾つかの角度で数枚絵にしてから、言われたとおりにリュックサックにいっぱいになる程度に石やらきのこやら植物やらを採取したのだった。
後書き
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