イベリス
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第五話 入学間近その七
「この前まで中学校に入ったとか」
「赤ちゃんよ」
笑っての返事だった。
「もうね」
「そうだったの」
「それがね」
「もう高校に入る」
「そうなってるわ」
「そうなのね」
「だから咲もよ」
彼女自身もというのだ。
「同じよ」
「何か子供の頃は信じられないけれど」
「今は信じられるでしょ」
「ちょっとね、じゃあ朝ご飯食べたし」
「お昼は食べるわよね」
「お昼今日何なの?」
「スパゲティでいい?」
母はこちらの料理を出してきた。
「それで」
「ソース何?」
「ペペロンチーノよ、オリーブオイルと大蒜のスライスを入れて」
そしてというのだ。
「あとはペペロンチーノの素絡めて」
「それで完成ね」
「それでいいわよね」
「うん、スパゲティ好きだし」
咲の好物の一つである。
「それじゃあね」
「それね、呼んだらすぐに来なさいね」
「そうするわね」
「それで夕方はモコのお散歩にね」
「行って来るわね」
「それまでゲームでも読書でもね」
それこそという返事だった。
「何でもしていいから」
「それじゃあね、ゆっくり出来るのもね」
「明日までよね」
「ええ、明後日からは」
まだ実感はない、しかしだった。
「高校生活ね」
「はじまるわよ」
「そうね」
朝食の場で母とこうした話をしてだった、咲はこの日はゆっくりした。そして晩ご飯の時にまた母に言った。
「ねえ、私もね」
「どうしたの?」
「お料理時々作ってるし」
事実作る時もある、自分だけ家にいる時もだ。
「明日はね」
「何か作るの」
「そうしていい?お昼か夜にね」
「じゃあお昼に餃子作って」
そしてとだ、母はこう返した。
「夜もね」
「食べるの」
「水餃子作ってくれるかしら」
こちらの餃子をというのだ。
「それだったら」
「焼き餃子じゃないの」
「だって水餃子はスープに出来るでしょ」
娘に笑顔で話した。
「そうでしょ」
「ええ、お野菜も入れられるわね」
「だからよ」
「栄養摂りやすいからなの」
「そう、餃子ならね」
「水餃子なのね」
「それ作ってくれるかしら。お野菜は白菜と韮とお葱買って来るから」
買いものは母がするというのだ。
「あとスープは鳥ガラね」
「中華風ね」
「餃子だけにね。そうそう、茸もね」
これもというのだ。
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