歪んだ世界の中で
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第十二話 笑顔の親戚その七
「思ったよ」
「そう思われましたね」
「うん、このことはいつも思ってるよ」
思った、という過去形ではなくだ。現在形での言葉だった。
「例え何があろうともね」
「ではそうした意味で影響を受けています」
「つまりそれは」
「反面教師になりますね」
「そうなるね。僕は絶対に僕の親みたいにはなりたくないよ」
自己中心的で思いやりのないだ。そうした人間にはというのだ。
「何があってもね」
「そうした意味で、です」
「僕の親も僕に影響を与えているのかな」
「はい、そうだと思います」
「成程ね。そうなんだ」
「そうです。ですが絶対にです」
「うん、両親みたいにはなりたくないよ」
心の底から強くだ。希望は思っているのだった。
「絶対にね」
「そうですよね。ですから」
「僕はおばちゃん達や友井君みたいな人間になるよ」
「僕みたいなですか」
「友井君みたいに頭がよくて人間のことがわかっている人間にね」
そうなる、なりたいというのだ。
「なるからね」
「僕はその」
希望にそう言われてだ。真人はだ。
難しい顔になりだ。こう言ったのである。
「そんな立派な人間じゃないよ」
「そうなのかな。けれど僕から見たらね」
「それが違うのですか」
「うん、違うよ」
希望もこのことは断言できた。
「それは言えるよ。絶対にね」
「そうですね。ではです」
「あんな親でも」
「遠井君の役に立っていますよ」
「御飯もね」
それについてもだというのだ。
「食べさせてやっている、お金を出してやっているでね」
「極論すればそうですが」
「それでもだよね」
「はい、普通親ならです」
「言わないよね」
「言ってはならないことだと思います」
こう答える真人だった。
「親としてそういうことは子供に対しては」
「そうなんだね」
「母に言われたことがあります。親は自然にです」
「自然になんだね」
「子供を愛するものだと。そしてそうできない親はです」
「駄目なんだね」
「失格だと言われました」
実際に母にかつて言われたことをだ。真人は今希望に話した。
「そんなことを絶対に言ってはならないと思います」
「友井君のお母さんはそうした人だよね」
「僕はマザコンではないつもりですが」
このことはだ。真人は気恥ずかしそうに笑って断った。
「ですがそれでもです」
「それでもだよね」
「そうです。母を尊敬しています」
そうだというのだ。彼はだ。
「ですから。母のその言葉はです」
「間違っていないと思うよ、僕もね」
「そうですよね」
「それで大叔母さん達はです」
「おばちゃん達にそう言われたことはないよ」
「それで正しいと思います」
こう希望に答えてだ。そこを根拠にしてだ。真人は彼にさらに述べた。
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