絢と僕の留メ具の掛け違い・・そして 結末
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第三章
3-⑴
3学期が始まった日、恒例の成績が貼り出された。一番石川進、二番本町絢、三番水島基、四番杉沢健一、そして五番目に早瀬いづみ・・・。
絢は僕の前の席で
「ウン」と言っているのが聞こえた。
自分なりに手応えを感じ取っていたのだろう。僕も感じていたとおり抜かれてしまった。健チヤンは、早瀬いづみは・・・思ってもいない人に抜かれたのだのだから・・・。健ちゃんは平然としていたが、早瀬いづみは机の上で両手を強く組んでしばらく下を向いていた。年度初めには、ビリの方にいた人間に抜かれた、それよりも今まで女子のトップに居たのに、その座から落ちてしまった方がショックだったのかもしれない。
当然みんなの目も一斉に絢の方に向いていた。彼女は何とVサインしていた。性格まで変わってしまったのかと僕は思ったが、いや、それが彼女の本来の性格なのかなって思い始めた。
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