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レーヴァティン

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第二百三話 騎士団と王国その九

「そしてでござる」
「充分だな」
「この宮殿の様なもので」
「それでいいだろ、というか日本だとな」
「建築を好んだ権力者は少ないでござるよ」
「太閤さん位か」
 豊臣秀吉である、この人物は大坂城だけでなく聚楽第や淀城等と様々な建築を行わせたことで知られている。
「あの人位でな」
「他の人はでござる」
「これといってな」
「建築に熱中した人はいないでござる」
「始皇帝みたいにな」 
 この人物は特に有名であろうか。
「ああしたな」
「過度な建築はでござるな」
「日本はいないからな」
「そうでござる」
 まずというのだ。
「太閤殿位で」
「それで俺達もな」
「建築は特にでござるな」
「興味ないな、別邸とかもな」
 宮殿だけでなくだ。
「建てるとかな」
「しないでござるな」
「宮殿に住んでもだよ」
 豪奢なそれにである。
「本当に寝て一畳でな」
「立って半畳やで」
 美奈代の言葉である。
「ほんまな」
「そうだよな」
「世の中そんなもんやで」
「結局はな」
「でかい立派な宮殿建ててもな」
「自分の場所なんてそれだけでな」
「そやから日本ではな」
 起きた世界のこの国ではというのだ。
「あんまり大規模な建築なかったんや」
「江戸城とかはあってもな」
「すぐに地震や台風や火事で壊れるしな」
「それな、落雷もあるしな」
 久志は美奈代にまさにと返した。
「折角建ててもな」
「形あるもの絶対に壊れるやろ」
「ああ、実際にな」
「それで建築趣味って権力者殆どおらんかったんや」
 日本の長い歴史の中でだ。
「でかい建築物も確かにあるけどな」
「江戸城に大坂城に」
 剛はまずは城を挙げていった。
「あと大仏さんだね」
「どれも個人の贅沢じゃないな」
「うん、立派な宮殿とかね」
「本当にないな」
「皇居なんてね」
「凄い質素だしな」
「江戸城をそのまま使ってね」
 明治帝がそこに入られた形になり江戸城は皇居となったのだ、そして二十一世紀に至っているのである。
「そして東宮なんかもう」
「一軒家みたいでな」
「本当に質素だよ」
「皇室の方々のお住まいじゃねえな」
「もうね」
「そんな国だしな」
「僕達もね」
 その日本に生まれ育っているからだというのだ。
「そんなね」
「建築に興味なくてな」
「贅沢にもね」
「これといってな、服だってな」
 英雄は着ているそれを見た、見れば何時でも戦いに行ける様なものであり派手な装飾は一切ないものだ。これは仲間達も同じだ。 
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