歪んだ世界の中で
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第十一話 テスト勉強その十四
「誰かと一緒に行かれた方がいいですね」
「じゃあ友井君が?」
「いえ、僕もそうしたいですが」
微笑みだ。ここではこう言う真人だった。
「もっといい方がおられます」
「一緒に。おばちゃんのところに行くには」
「そうです。もっと相応しい方がおられます」
「というと。その人って」
「夢野さんです」
千春がだ。その最適任者だというのだ。
「あの方が一番いいです」
「千春ちゃんがなんだ」
「そうです。あの人です」
「何でなの。それって」
希望は真人の今の言葉の意味がわからなかった。それでだ。
いぶかしむ顔になってだ。こう彼に問い返した。
「友井君でもいいんじゃないの?」
「そう思われますよね」
「うん、そう思うよ」
「確かに僕が行ってもです」
共に行ってもいい、それはそうだというのだ。
だがそれと共にだ。真人は希望に言ったのだった。
「ですがそれよりも夢野さんの方がいいのは」
「理由があるんだね」
「これは祖母から言われたことですが」
真人の祖母、彼女からだというのだ。
「人は。伴侶を得て一人前だと」
「えっ、伴侶って」
「恋人でもいいです」
驚いた希望にだ。真人は微笑んでこうも話した。
「そうした人が一緒にいるのを見ると」
「おばちゃん達も安心できるんだね」
「はい、人は一人ではないとです」
真人のだ。祖母が言ったというのだ。
「だからこそです」
「成程ね。じゃあおばちゃん達の家にはね」
「二人で行かれて下さい」
希望、そして千春とだというのだ。
「そのうえで」
「うん、話すよ」
「そうして下さいね」
「わかったよ。じゃあそうするね」
「遠井君の運命が色々と回りだしていますね」
真人は言えた。そのことが見えているからこそ。
「いいことだと思います」
「そうなんだ。このことは」
「いいですよ。では」
「うん、それじゃあね」
こう話してだ。希望はこの日のうちにその家に行くことにした。それも二人で。
そのことを決めてからだ。彼はあらためて真人に問うた。
「あの、それでだけれど」
「それでとは」
「うん。僕がおばちゃん達の家に入ったらね」
その時はだというのだ。
「友井君との通学はどうしようか」
「逆にすればいいんですよ」
「逆って?」
「今までは遠井君が僕の家に来てくれてますね」
真人が話すのはこのことだった。
「そうしていますけれど」
「そうなったら友井君が来てくれるんだ」
「はい、迎えに来ます」
そうするというのだ。彼がだ。
「そうすればいいんですよ」
「そうなんだ。友井君が来てくれるんだ」
「その時はそうさせてもらいます」
「有り難う。それじゃあね」
「はい、それではですね」
「そうなっても一緒に登校しよう」
例え住んでいる家が違ってもだ。そうしようというのだ。
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