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レーヴァティン

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第二百三話 騎士団と王国その六

「俺だけじゃないしな」
「ではです」
「明日また書類を持って来ますので」
「サインをお願いします」
「そうするな」
 こう言ってだった。 
 久志は今の仕事は終えた、しかし。
 ここでだ、彼は今日の仕事について周りに言った。
「今日は死刑のサインがなかったな」
「はい、今日はです」
「そちらはありませんでした」
「死刑については」
「そちらのことは」
「死刑は皇帝が決めるからな」
 罪人達へのそれはというのだ。
「俺がサインするけれどな」
「最近死罪になるまでの悪人は減っていますし」
「その為ですね」
「今日は死刑がなかったですね」
「そうだな、減ってきていたしな」
 事実そうなっていてというのだ。
「それで遂にか」
「いない日も出ました」
「遂にです」
「重罪人はこうなることを多くの民が知り」
「悪人が減ったので」
「そうなったので」
「いいことだな、やっぱりな」
 久志はこの状況を見て述べた。
「厳罰と厳法だな」
「その二つですね」
「鋼の如き法と子供が聞いて震え上がる様な刑ですね」
「この二つが気にをよくしますね」
「何といいましても」
「ああ、悪人なんて容赦したらな」
 それこそというのだ。
「世の中大抵の奴は悪いことをしてもな」
「報いを受ければ悔い改めます」
「そして善人に戻ります」
「そうなりますね」
「けれどそんな奴ばかりじゃないんだよ」
 悔い改める者ばかりではないというのだ。
「中にはな」
「どういった報いを受けてもですね」
「反省しない輩もいますね」
「そして悪事を繰り返しますね」
「そうした輩もいますね」
「本物の悪人がな、そんな奴を減らしてな」
 そうしてというのだ。
「悪人はどうなるか」
「それを見せてですね」
「悪に対する恐怖を感じさせ」
「そうしてですね」
「悪人を減らしますね」
「ああ、それがな」
 そうした政策がというのだ。
「遂にな」
「功を奏してきました」
「事実犯罪は減りました」
「そして死刑にする者はいなくなりました」
「今日そうなりました」
「やっぱり死刑にする奴は出るさ」 
 そうすべき悪人はというのだ。
「けれど減ったことはな」
「よかったですね」
「まことに」
「ではですね」
「これからもですね」
「そうしていくな」
 厳格な法と刑で国を治めていくというのだ。 
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