猫のきおく
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シーン21
少し暖かくなってきた日。朝からいつもと雰囲気が変わっていた。
「お弁当は卵サンドとジャムサンドにしたわ、バナナとあとあなたの好きな濃いミルクティもボトルに入れといたよ 大丈夫?用意出来たら出るわよ」 とお母さんが、すずりチャンに向かって言っていた。
すずりチャンも「大丈夫」と言って二階に上って行って、しばらくして下りてきたかと思うと、俺を両手で顔まで抱き上げて、「頑張ってくるよプチ応援していてね」って言った。何か声が弱弱しい、だから勇気づける意味でニャーニヤーと二回鳴いた気がしたが、二度目は声が出なかったようだ。それでもすずりチャンはニコッと返してきたように思えた。何だか俺には解らなかっが・・・。
お母さんの運転で二人は出て行った。俺は車庫からそれを見送っていた。とにかく頑張れって・・・。電柱に止まっている黒カラをひさびさに見た。奴も見守っていたのだろうか・・・。
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