猫のきおく
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シーン18
ソファーの横で色んな光が点いたり消えたりしている。少し前に、かけるが、その木のようなものにいろんなものを吊り下げていた。
今夜はみんな揃って、食事をしていたが、すずりチャンは食べ終わったのか、「ごちそうさま」と言って、直ぐに自分の部屋に戻ろうとした。おそらく、又、机に向かうのだろう。お母さんは、「まだケーキがあるよ」と言って呼び止めたが、すずりチャンは「後で呼んで」って言って去ろうとした時、お父さんが、「すずり あんまり張り詰めるともたないぞ」って、声をかけた。すずりチャンは、一瞬、足を止めて何か言おうとしたが、そのまま二階へ上がっていった。
お母さんがソファーの前の机にケーキを置いて、すずりチャンを呼びに行った。すずりチャンが降りてくると、お母さんが細長い木の根っこみたいなケーキを切り分けて、みんなに手渡ししていった。お父さんとかけるは「メリークリスマス」と言っていたが、すずりチャンは黙って食べて、又、さっさと二階に戻ろうとしたところに、お父さんがソファーで座りなおして、「すずり 模擬テストでなずなチャンに負けて悔しい気持ちは解らないでもないが、人間の実力なんてものは一度や二度で決められないもんだ。実力なんて頑張って努力すれば、後からついてくる。・・・うっ・・・追い詰めるようなことを言ってすまない。君は実力があるんだから、もっと気楽にゆけばー・・・。」って言っていた。それを聞いていたすずりチャンは「ありがとう」、ニコッとして二階にとんとんとんとかけあがって行った。俺には、何のことだか解らなかったがお父さんがやさしく思えて、ひざの上に乗っかっていった。暖かかった。ケーキを少しちぎって手のひらにのせて差し出してくれた。
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