イベリス
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四話 家でこっそりとその二
「それはね」
「うちもそうだから」
「愛ちゃんもなのね」
「煙草はね」
それこそというのだ。
「吸わないのよ」
「そうなのね」
「だから咲ちゃんにもね」
「煙草は勧めないの」
「お酒だけよ」
あくまでというのだ。
「本当に」
「そうなのね」
「本当によ」
愛はさらに言った。
「カラオケに行っても」
「お酒だけなのね」
「ジュースも勧めるけれどね」
「ジュースについては何も言わないわよ」
母もこう返した。
「別に」
「そうなのね」
「けれど未成年にお酒は」
「大丈夫よ、夜だし」
飲む時はというのだ。
「お昼から飲むとか言わないから」
「朝もなのね」
「朝に飲むなんて北条氏康さんじゃないから」
この戦国大名は阻喪をすることが少ないので酒は朝に飲むのがいいと言ったことが歴史に残っている。
「言わないわよ」
「朝酒は人間として駄目よ」
「私もそう思ってるからね」
「それは言わないのね」
「お酒は夜に飲むものよ」
これは絶対だというのだ。
「本当にね」
「夜ね」
「カラオケ行って」
夜にというのだ。
「それでよ」
「お酒も飲んで」
「帰るのよ」
「そうするのね」
「そう、私も一緒だしいいでしょ」
愛はこうも言った。
「そうでしょ、何ならお家で飲む?」
「ここで?」
「そうしてもいい?」
「止めてもするでしょ」
愛の性格を知ってだ、母は言った。
「そうするでしょ」
「私のお家でね」
「全く。お酒だけならいいわ」
ここで折れ時だと思ってそうした。
「煙草も麻薬も他の悪い遊びも駄目よ」
「そういうのは勧めないから」
愛もそこは笑って否定した。
「安心してね。というかそういうことをしないことを教えるのもね」
「愛ちゃんのすることっていうのね」
「だからね」
「お酒だけね」
「ええ」
まさにというのだ。
「そういうことだから」
「咲、あまり飲まないでね」
今度は自分の娘に言った。
「いいわね」
「お酒なら時々飲んでるけれどね」
「時々でもいつもは駄目でしょ」
娘に常識を話した。
「そうでしょ」
「それはね」
「まだ十代なんだから」
即ち未成年だからだというのだ。
「大人になっても毎日はよ」
「駄目よね」
「お酒は過ぎたら毒になるから」
それ故にというのだ。
ページ上へ戻る