レーヴァティン
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第二百二話 命の重さをその一
第二百二話 命の重さを
琉球に軍勢そして兵達が使役する獣や魔物達を送ってハブ退治をはじめた、罠も多く用意して捕えていき。
捕らえたハブは食材にし薬にしていった、他にはその身を干してだった。
「鰯の様にか」
「肥料にもや」
耕平が答えた。
「そうしてるわ」
「そうしてだな」
「ハブの命は粗末にしてへんわ」
「それは何よりだな」
「それで食うたらな」
今度はハブを食べた時の話をした。
「蛇、爬虫類やさかいな」
「鶏に似た味でだな」
「案外美味いってな」
そのことがわかってというのだ。
「結構評判や」
「それは何よりだな」
「それで薬にもなってな」
「肥料にもだな」
「なってるわ」
「それは何よりだ」
「ほんまにな、命はな」
耕平はあらためて言った。
「大事にせなあかんな」
「奪うにしてもな」
「それはな」
「だからだ」
「自分もそうするか」
「むしろ反省している」
英雄は耕平に沈痛な声で返した。
「これまではどうだったか」
「命を大事にしてへんかったか」
「そうだったかとな」
「いや、そう思うことはええ」
耕平はその英雄に笑って返した。
「それから大事に出来るからな」
「これまではいいのか」
「そや、確かに子供は残酷でな」
「遊びで虫を殺したりするな」
「それで生きていくうちにな」
「命のことも学ぶか」
「最初から知っていればって思う一番のことかも知れんけど」
それでもというのだ。
「このこともや」
「生きていき学ぶな」
「そや、人間は白紙や」
サルトルの言うタブラ=ラサの状態だというのだ。まだ何も書かれていないノートの様なものということか。
「最初はな」
「本能以外はないな」
「箸の使い方もトイレの場所も知らんやろ」
「何もな」
「全部学んでや」
そうしてというのだ。
「身に着けるもんでな」
「命のこともだな」
「学んでや」
「知るか」
「その大事さもな」
「そういうことか」
「そやからな」
英雄に考える顔で話した。
「最初から知らんでもな」
「仕方ないか」
「そういうことを知るのも教育で」
「人間か」
「若し命を何とも思わん中で生きてたら」
その場合はというと。
「もう修羅か獣や」
「そうした存在になるな」
「そや、それでや」
「命のことを知ることもか」
「教育の問題でそれによってな」
「命の大事さを知ってか」
「人間としてどうかとなるんや」
その考え方が決まるというのだ。
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