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八条学園騒動記

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第六百十一話 普通の人が悪人になってその十

「そしてマクベスの場合はね」
「マクベスと奥さんは黒でね」
 レミも応えた。
「マクダフやバンクォーが黒ね」
「そうなるわね」 
 ダイアナはレミのその言葉に頷いた。
「まさに」
「それ位はっきりしているわね」
「観ていてわかったわ」
「そうよね」
「そういえば詐欺師はお話が長いって言うわ」
 ルビーはここで昔自分の祖父に言われた言葉を思い出した、詐欺師とはどういったことをするか言われたことがあるのだ。
「長々としてね」
「それで中身がない」
「そうだっていうのね」
「そう、やたら長くて」
 レミとダイアナにさらに話した。
「そして難しい言葉が多い」
「それで煙に巻くのね」
「騙す人を」
「他にも根拠のないことや薔薇色の未来を語るって言われたけれど」
 これも詐欺師の特徴だ、二十一世紀イギリスがEUを一時離脱した時も離脱推進派は離脱した時の薔薇色の未来を語った、だが全ては見事な嘘だった。
「それでもね」
「やっぱりお話が長くて」
「難しい言葉を使う」
「そして騙すのね」
「自分の話をわからなくさせて」
「もう騙すのは」
 その手段はというのだ。
「如何に相手に真実を悟らせないからしいから」
「それね、小難しい文章書く作家さんや哲学者もね」
 レミはルビーの詐欺師の話を聞いて述べた。
「まさにね」
「犯罪じゃないけれど」
「まあ騙すっていうか煙に巻く」
「それよね」
「まさにね」
 こうルビーに話した。
「そう思ったわ、今ね」
「やっぱり難しい言葉はね」
「それだけでね」
「大きなマイナスね」
「難しい言葉を使うイコール頭がいい」 
 ダイアナはシビアな目で語った。
「それを読めてもね」
「頭がいいか」
「自分は偉いか」
「それは違うわね」
「錯覚ね」
「本当に小難しい何を言ってるかわからない文章の羅列の人いて」
 小説家にしても哲学者にしてもというのだ。
「読んで自分頭いいって思う人いるけれど」
「書いている方もね」
「いるわね」
「それは頭がいいことじゃない」
 その実はというのだ。
「むしろ逆にね」
「頭が悪い」
「その場合もあるわね」
「本当にね、というかわかりやすい文章を書くって」
 このことは取陀、ダイアナは二人に話した。
「そっちの方がずっと難しいかもね」
「難しい文章書くよりも」
「それよりもね」
「そうよね、小難しいことなんてもう適当に造語生み出して」
 そうしてというのだ。
「もっともらしく書いたらね」
「完成ね」
「それでね」
「そしてそれを読ませたら」
「勘違いする人がいて」
「教祖みたいになれるのね」
「そうじゃないの?」
 現に二十世紀後半の日本で最大の思想家と言われた吉本隆明がそうであった、だが吉本が普通の文章を書くと唯の人になった。
「だったらね」
「誰でも教祖になれるってことね」
「小難しいこと書いたら」
「もうそれでね」
「なれるのね」
「けれど簡単な文章は」
 ダイアナは再度言った。 
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