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石の格

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第二章

「別に」
「いいかしら」
「宗教もそこまで多いと」
「かえってよくないかしら」
「そうでしょ、それ言うなら松脂よ」
「松脂?」
「あれも魔除けになるから」
 だからだというのだ。
「持って行くならね」
「聖書よりもなの」
「日本ではキリスト教あまり関係ないし」
 このこともあってというのだ。
「それなら天理教の経典の方がいいわよ」
「あの宗教魔除けとかあるの」
「さあ。けれど聖書よりもね」
 日本ならというのだ。
「その方がいいわよ」
「そうなのね」
「まあとにかく幽霊が出る場所に行くなら」
 それならというのだ。
「私も一緒に行くならね」
「あんたもお塩とか持って行くのね」
「そうするわ、怨霊だったら危ないからね」 
 天もこう考えていた。
「そうするわ」
「そのうえでよね」
「行くわ」
 こう言ってだった。
 天は夏織と一緒に夜にその幽霊が行く場所に行くことにした、すると夏織は自分の蕎麦を食べつつ言った。
「何でも声は泣いてるらしいわ」
「泣き声なの」
「そうらしいわ」
「そうなのね」
「ええ、しくしくとね」
 夏織はさらに話した。
「泣くらしいわ」
「そうなのね」
「それ聞くと悲しい思いをして死んだ」
「そうした人の幽霊なのかしら」
「そうみたいね、だとしたらね」
 夏織は天に蕎麦をすすりつつ話した、天も自分の蕎麦をすすっている。
「ちゃんと供養してあげられたらいいわね」
「そうよね、悲しい思いをして死んだなら」
 天も夏織のその言葉に頷いた。
「やっぱりね」
「そう思うでしょ」
「ええ、私もね」
「そうよね」
「実際に泣き声が聞こえたなら」
 天は真剣な顔で話した。
「うちのお店の常連さんに住職さんおられるから」
「その人にお話してみるの」
「そうするわね、そうしたら」
「成仏してくれるわね」
「そうなったらいいわ」
 二人でこう話してだ、実際に。
 二人はその場所に行く日も話して塩やお経、お守りに松脂を持って行くことにした。そうして天は待ち合わせ場所にラフな服装で行くと。
 やはりラフな服装の夏織が来た、夏織はここで天に尋ねた。
「懐中電灯も持ってるわね」
「ああ、それもね」
「夜道歩くから」 
 だからだというのだ。
「持って来た?」
「一応ね、夜道だし」
「ならいいわ、それじゃあ今からね」
「懐中電灯も使って」
「幽霊の声が聞こえる場所に行きましょう」
「それじゃあね」
 こうした話をして合流してだった、二人でその泣き声が聞こえる場所に向かった。そこは人気のない寂しい場所だった。
 そこに行くと早速泣き声が聞こえてきた、それでだった。 
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