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実は二人で

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第三章

「旅に出ることが」
「私にとって一番の喜びです」
「私もです」
 曾良は芭蕉にまた笑顔で応えた。
「何処に行くか」
「そのお話をしてですね」
「二人で用意をして」
「そしてですね」
「そのうえで旅に出て」
「共に旅路を歩くことが」
「そのことが」 
 まさにというのだ。
「最高の楽しみですね」
「私達にとっては」
「二人で暮らして」
 そしてというのだ。
「二人で旅に出る」
「それがいいですね」
「そして貴方もですね」
 曾良は芭蕉を見てさらに言った。
「俳句の方も」
「頑張れます、貴方と共にいるなら」 
 それならというのだ。
「非常に」
「左様ですね、では」
「これからもですね」
「はい」
 芭蕉も笑顔で応えた。
「俳句を詠んでいきます」
「そうされますか」
「貴方と一緒なら」
 芭蕉は曾良をいとしげに見つつ言った。
「何処に行っても楽しく観る景色もです」
「それもですか」
「非常にです」
 それもというのだ。
「素晴らしく観えますので」
「俳句もですね」
「調子よく詠めます、ですから」
「これからもですね」
「二人での旅を」
 それをというのだ。
「していきましょう」
「それでは」
 二人で寄り添って話をしてた、いとしげに見詰め合いながら歩いていった。二人は旅の間ずっと離れることはなかった、しかし。
 諸藩の武士達はその彼等を注視したままだった、だが二人の真実は知らなかった。二人の関係がどういったものか。


実は二人で   完


                 2021・1・11 
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