糸引き婆
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第六章
「わしも楽しむ」
「そうなんだね」
「だから夜のこの時間にな」
十二時にというのだ。
「何時でもここに来るのじゃ」
「わしのいる場所にも来るといい」
砂かけ婆も言ってきた。
「わしも驚かせてやる」
「砂かけ婆さんもなんだ」
「そうしてやるからな」
「それで何処に出るのかな」
「うむ、そこはな」
砂かけ婆は山影達に自分が出る場所のことを話した、そうしてだった。
山影達は砂かけ婆に話した。
「じゃあ気が向いたらね」
「そっちにも行くな」
「そうさせてもらうな」
「砂かけ婆さんにも会いに行くかもな」
「その時宜しくな」
「うむ、では早く帰って寝るのじゃ」
砂かけ婆が最後に言った、そして。
山影達は妖怪達と別れてそれぞれの家に帰った、それから寝たが。
翌朝山影は友人達に尋ねた。
「お婆さん達にまた会いに行く?」
「別にいいだろ」
「もうあの婆さんのことわかったしな」
「砂かけ婆さんのこともな」
「まあすぐでなくてもな」
「そうだね、わかったしね」
山影もこう言った。
「それならね」
「ああ、また気が向いたらな」
「行こうな」
「その時どう驚かせてくるか気になるしな」
「まあそう思ったらな」
「その時でいいだろ」
「そうだね、じゃあその時にね」
山影は友人達の言葉に頷いた、そして彼はそれからその道にも砂かけ婆のいる場所にも行くことはなかった。だが結婚して子供が出来た時に自分の子供にこのことを話すと両方の場所に行って家に帰ると妖怪達のことを話した。この時彼は遺伝はするのだと思った。
糸引き婆 完
2020・10・17
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