夜寝ない理由
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第一章
夜寝ない理由
ジェフリー=キッドは灰色の髪を後ろに撫で付けた黒い目に細面の背の高い中年男性である、自動車工場で働き妻のキャロル金髪で青い目に愛嬌のある顔と豊かなボディを持つ彼女そして幼い娘のリンダと共に暮らしている。
夫婦は犬も飼いたいと話してあるシェルターから一匹の雄のゴールデンレッドリバー、ベルという名前の彼を迎えた。
ベルは人懐っこく大人しく優しい性格で一家は忽ち好きになった、夫婦は毎日彼を散歩に連れて行き一緒に遊び楽しんでいた、だが。
夫が最初にベルの様子に気付いた、何と。
ベルはいつも家の外の自分の家から夜の間ずっと自分達がいる部屋を見ているのだ、夫は妻にそのことを話してだった。
いつも夜ベルを見た、するとだった。
「毎晩朝になるまでずっと見ているな」
「寝ないでね」
妻も言った。
「お昼凄く身体動かして身体疲れさせても」
「夜は寝ないな」
「日中寝てるけれど犬はよく寝ないといけないのに」
「それで夜寝ないとな」
「心配になるわね」
「寝不足で参らないか」
「そうよね」
夫婦でこんなことを話した、そしてだった。
夫婦はベルのことが心配で色々やってみた、だがベルは夜はずっとそうしていた。それで遂にだった。
ベルのことを彼がいたシェルターに行って直接聞いた、するとシェルターの人は彼のことを深刻な顔で話した。
「実は前の飼い主に」
「捨てられたんですか」
「そうなんですね」
「はい」
こう二人に話した。
「前の飼い主夫婦に子供が産まれて」
「邪魔になって」
「そうしてですか」
「ベルが寝ているうちに捨てられて」
「このシェルターに連れて来られたんですか」
「子供しか育てられないと言って」
そうしてというのだ。
「前の飼い主の人達はそうしました」
「酷いですね」
「そんな人もいるんですね」
「夜寝ている間に捨てられた」
「家族に裏切られたからですね」
「また夜に捨てられない様に」
「ずっと私達の方を見ているんですね」
夫婦もそのことがわかった。
「寝ていたら捨てられる」
「そう思って」
「そうです、お二人にそのつもりがなくても」
それでもというのだ。
「あの子は捨てられた、裏切られたことがトラウマになっていて」
「それで、ですか」
「私達の方をずっと見ていますか」
「そうです」
こう二人にベルの事情を話した、夫婦はその話を聞いてだった。
ページ上へ戻る