八条学園騒動記
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第六百十話 考えてみれば不思議その三
「もう人間止めるぞよ」
「吸血鬼になるとか以前に」
「心がそうなってるのよね」
レミもルビーもダイアナに応えた。
「まさにね」
「身体がどうにかなる以前に」
「それでマクベス夫人も」
ダイアナはまた言った。
「人間じゃないのよ」
「魔物っていうか」
「悪魔っていうかね」
「そんな存在よね」
「そうなっているわね」
「何でそこまでなっているのに」
悪を極めていてというのだ。
「急にそうなるのかしら」
「それが謎よね」
「悪の哄笑をあげんばかりなのに」
「もう悪役中の悪役で」
「イヤーゴにも負けないのに」
「リチャード三世も凄いけれど」
表題役でもある、尚実は作品と史実はかなり違っているという指摘もよく為されているのはこの時代でも同じである。
「マクベス夫人もね」
「相当でね」
「本当に悪のカリスマ」
「痛快なまでにそうよ」
「それでも良心に苛まれて弱って」
今の様にというのだ。
「死ぬとかね」
「信じられないわね」
「どうしても」
このことがというのだ。
「ここまで極悪人なのに」
「どうしてかしらね」
「もう最後まで悪を貫いて」
レミは言い切った。
「それで最後マクベスと一緒にね」
「切り殺されるべきね」
ダイアナも応えた。
「それが相応しいわね」
「そう思うけれど」
「そうよね」
「この場面マクベスでも有名な場面だけれど」
ルビーは今も手を洗う仕草をしているマクベス夫人を見ている、演じているのは三年生の先輩である。
「どうしてそうなるのかって」
「疑問よね」
「どうしてもね」
レミとダイアナは同時にルビーの言葉に頷いた。
「ここまでの悪人なのに」
「そうなるのがわからないわ」
「史実ではこうなのかしら」
ルビーはこの話が史実を元にしていることから話した。
「マクベス夫人は死んで」
「その後でマクベスもね」
レミが続いた。
「戦いの中でね」
「そうそう、女の人のお腹から生まれた相手には負けない」
「そう言ったのにね」
「あとバーナムの森が動かないと負けない」
「それが動いて」
敵の戦術でそうなったのだ、その時のマクベスの動揺も見せ場である。
「そして戦場に赴いて」
「帝王切開で生まれた人と戦って」
その相手がそのことを言ったのだ。
「そしてね」
「あっという間に倒されて」
「それで死ぬのよね」
「そうそう」
「マクベスはわかるけれど」
それでもだ、ダイアナは話した。
「その最期は」
「それがマクベス夫人は」
「今の結末なのは」
こうレミに話した。
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