恩を忘れない栗鼠
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第二章
妻は夫にまさかという顔でこう言った。
「私達が助けたから」
「それでか」
「こうしてね」
「会いに来たんだな」
「そうかも知れないわ」
「そうなんだな、こんなこともあるんだな」
「ええ、じゃあ私達も挨拶をしましょう」
夫に笑顔で提案した。
「そうしましょう」
「そうだな、折角来てくれたんだし」
夫も妻の言葉に頷いた、そしてだった。
二人でベラに窓を開けて笑顔で挨拶をした、すると雌である彼女はとても嬉しそうに二人に身体を寄せてきた。
それから暫く一緒に遊んで森に帰ったが。
時々家に来て挨拶をしたり会う様になった、息子に対してもそうであり彼は夜に一緒に夕食を食べながら両親に話した。
「こんなことはじめてだよ」
「父さんもだ」
「母さんもよ」
二人で我が子に答えた。
「まさかね」
「家を出た栗鼠がこうして会いに来るなんてな」
「こんなことはじめてよ」
「これまでも栗鼠の怪我を治して自然に戻してきたけれどな」
「あれかな。栗鼠も恩を忘れないんだよ」
息子は両親に夕食を食べつつ話した。
「助けてもらったことをだね」
「人間と同じでか」
「そうなのね」
「だからベラも戻って来たんだよ、だったらね」
それならというのだった。
「僕達人間もね」
「そうだな、よくしてもらったり助けてもらったらな」
「それを忘れたらいけないわね」
「そうだよね、そしてこれからも命はね」
「助けていこうな」
「そうしていきましょう」
「それはいいことに間違いないからね」
両親に笑顔で話した。
「そうしていこうね」
「これからもな」
「そうしていきましょう」
二人で話した、そうしてだった。
家族でベラのことをさらに話しこれからもベラの様に傷付いた生きものを助けていこうと話した、それがいいことであり栗鼠にも恩義を感じる心があることを心から嬉しく感じてやりがいも見出したからこそ。
恩を忘れない栗鼠 完
2021・4・19
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