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ドライブ好きの猫

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第一章

                ドライブ好きの猫
 デビッド=ダースト、大柄で逞しい身体つきだが黒い目も顔立ちも優しい金髪を短く刈っている彼は今はオレゴンのドライブインにいた。
 そこでだ、ドライブインのレストランの店員にチキンナゲットを食べながら話していた。
「ここに来たのは二度目だな」
「そうなんですね」
「ああ、トラックでアメリカ中を巡ってな」
 そうしてというのだ。
「オレゴンには何度か来てるけれどな」
「それでもですか」
「ここは二度目だな」
「もっと来て欲しいですね」
 店員はデビットに笑って返した。
「うちとしては」
「客だからだな」
「はい」
 若い白人の男の店員は笑って応えた。
「そうです」
「そうだよな」
「ええ、お願いしますね」
「そうするな、ここはいい店だしな」
 デビッドはナゲットを食べながら応えた。
「そうさせてもらうな」
「はい、それじゃあ」
「ただです」
「ただ?」
「いえ、お客さんの横にいる子ですけれど」
「ああ、トラか」
「ニャ~~~」
 そこにはトラ猫がいた、デビッドは同席しているその猫を見ながら店員に応えた。
「こいつは俺のパートナーだよ」
「パートナーっていいますと」
「だからいつも一緒にいるな」
「そうした子ですか」
「雌で猫の種類はスコティッシュストレートだよ」
「そうですか」
「猫が飼いたくて里親募集を見てたらな」
 そこでとだ、デビッドはキャットフードを食べているトラを観つつ話した。
「こいつを見付けてな」
「それで、ですか」
「家族に迎え入れたんだよ」
「そうですか」
「それで生後二ヶ月の頃からな」
「ずっと一緒ですか」
「そうなんだよ、仕事の時もな。トラックの中が半分家だしな」
 店員にこうも話した。
「それでなんだよ」
「そうですか、ただ」
 店員はここでこう彼に言った。
「猫は家に居付いて」
「ドライブとかはだよな」
「場所がしょっちゅう移動する様だと」
「そうらしいけれどな」
 デビッドもそのことは知っていて答えた。
「猫は」
「そう聞いてますが」
「けれどな、こいつはな」
「違うんですか」
「ああ、ずっと俺と一緒について来てくれてるよ」
「途中いなくなったり窓から出たり」
「猫は気まぐれだしな」
 このことも知っていた。
「そうなる可能性もな」
「ありますね」
「いつも俺の後をついてきてくれてもな」
「その可能性もありますよ」
「だから万が一の時に備えてマイクロチップもな」
 これもというのだ。
「付けてるよ」
「用心はしていますか」
「ああ、そのうえでな」
「一緒にですか」
「旅をしているんだよ」 
 アメリカ中をそうしているというのだ。 
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