狼がもたらした奇跡
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第二章
「どうやら」
「左様ですね」
「植物が増えたので」
まさにそのせいでだ。
「山に水が溜まってです」
「川に安定して水が送られる様になって」
「それで、ですね」
「川もよくなっていますね」
「一直線になって」
「水の量が増えました」
「そうなりました」
「いや、凄いですね」
スタッフの誰もが驚嘆していた。
「これは」
「全くです」
「狼達が来て」
「彼等が戻ってです」
「それだけだったのに」
「それで鹿を食べて」
そしてというのだ。
「その数を減らしました」
「それだけだと思っていたら」
「それがです」
「まさかこんなことになるとは」
「生態系全体がよくなり」
「しかも川まで変えるとは」
「この公園は変わりました」
まさに一変したというのだ。
「狼達が来てから」
「左様ですね」
「そうなりました」
「本当に凄いことです」
「狼が来ただけで」
「そして僅かだったのに」
それでもというのだ。
「ここまでのことをしてくれるなんて」
「こんな素晴らしいことはない」
「本当にそうですね」
「生態系は少しでも狂うと大変なことになる」
かつてのこの公園の様にというのだ。
「その場全体が荒れますが」
「それでもですね」
「こうしたことで戻る」
「些細はことでも」
「そのことがわかりましたね」
「全くです」
スタッフの人達はこう話した、そして。
狼達を見た、彼等は今は遠吠えをしていた。
「オオーーーーーーーン」
「狼は必要です」
「かつては忌み嫌われ狩られていましたが」
「そんなことをしてはいけないですね」
「狼がこの公園を救ってくれました」
「そのことを見てもわかりますね」
「狼が必要ということが」
こう話した、そうしてだった。
彼等は狼を温かい目で見た、公園を救ったその彼等を。
狼がもたらした奇跡 完
2021・4・17
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