レーヴァティン

「行き来すべきであります」
「やはり完全に留守にするとな」
「しかもそれが長いと」　
　それならというのだ。
「何かと問題であります」
「その場に時折でもな」
「いると」　　
「それだけで何かと違うものだ」
「そうでありますので」
　それ故にというのだ。
「ここはであります」
「大坂に戻ることもだな」
「していきましょう」
　こう英雄に話した。
「どうでありますか」
「そうだな、誰か一人でも常にいるかな」
「時折戻れば」
「それだけでだ」
　まさにというのだ。
「全く違う」
「幕府の政も進み」
「そしておかしなことをする奴もな」
「出ません、目があると」
　それだけでというのだ。
「人は行いをあらためます」
「それが事実だしな」
「では」
「俺達のうち一人でもな」
「大坂にいる様にするでありますな」
「そして謀反だの私腹を肥やすなどな」
「そうしたことはさせないでありますな」
　英雄に問うた。
「そうするでありますな」
「ではな」
「その様に」
「それがよかとよ」
　香織は峰夫のその提案に賛成して言った、それはと言いながらそうして頷いてから英雄に対して言った。
「まことに」
「誰か常にだな」
「順番でもたい」
「隣にいるとだな」
「よかとよ」
　そうだというのだ。
「謀反も汚職もなくせるたい」
「そうだな」
「どっちも論外とよ」
「多少怠ける位ならいいがな」
「付け届けもたい」　
　これもというのだ。
「よかたいな」
「この浮島の習わしだな」
「そうたい」
　まさにというのだ。
「それは」
「西の浮島でもあったな」
「汚職や賄賂とはまた違うたい」
　付け届けはというのだ。
「だからよかたい」
「贈りものはな」
「賄賂と区別がつきにくいたいが」　
　それでもというのだ。
「そこはとよ」
「止められないな」
「止めてよかこともなかとよ」　
　香織は難しい顔で述べた。
「どうも」
「そうだな、だから俺もだ」
「付け届けは禁じていないたいな」
「そうだ」
　まさにとだ、英雄は香織に答えた。
「そうした習わしもあるということでな」
「禁じることなく」
「行わせている」
「江戸時代の我が国もそうだったとよ」
　香織は冷静に話した。