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戦国異伝供書

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最終話 話が終わりその三

「羽柴殿はいつも奥方の話は嬉しそうにされますな」
「そう思われますか」
「はい」
 実にという返事だった。
「常に」
「そうですな」
 羽柴も否定せずに答えた。
「どうにもです」
「奥方様のことは」
「それがしにとって欠かせぬので」
「だからですな」
「ついつい話してしまい」
「そのお話を楽しく」
「してしまいます」
 実際にというのだ。
「そうしています」
「夫婦仲は円満ですな」
「喧嘩は多いですが」
 それでもというのだ。
「そうしています」
「左様ですな」
「ねねのいない暮らしなぞ考えられませぬ」
「全く、猿は果報者よ」
 柴田はその羽柴に笑って言った。
「あの様に出来た奥方がおられるとは」
「それがしの一番の宝です」
「そう言えるだけの奥方だからな」
「全く以て」
「だから今もじゃな」
「十分に働けます」
 こう柴田に答えた。
「何かと」
「そうであるな」
「猿はこれまでよく頑張ってきておるが」
 佐久間も言ってきた。
「これからもか」
「左様であります」
「そうして天下の泰平をか」
「盤石のものとしとうござます」
「それを聞くと我等もであるな」
 佐久間は笑って述べた。
「猿に負けていられぬわ」
「全くじゃ」
 林も続いた。
「猿の頑張りを見るとな」
「我等もとなるな」
「頑張らねばとな」
「まさにな」
「猿がおるとな」
 滝川も言ってきた。
「我等もより一層働こうとなる」
「左様、猿を見るとじゃ」
 前田も言った。
「どうしても遅れるかとなるわ」
「羽柴殿に負けぬ」
 明智も微笑んで話した。
「そう思い我等も頑張れます」
「不思議な奴じゃ」
 佐々も笑っていた。
「猿を見ておると我等も上様そして天下万民の為に働こうとなる」
「ははは、兄上はです」
 秀長が言ってきた。
「場を和ませしかも人を励ます」
「わしはそうした者は」
「それがしもそうですし」
 かく言う自分自身もというのだ。
「兄上を見ていますと」
「和んでか」
「そしてそれがしもとです」
 心が勇んでというのだ。
「頑張れます」
「そうであるか」
「はい、ですから」
 それだけにというのだ。 
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