レーヴァティン
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第百九十七話 小田原入城その十
雨は一週間程続いた、そうして止んだが。
幸いにして洪水等災害は起こらず英雄は江戸城で言った。
「洪水にならずにな」
「はい、よかったですね」
「実に」
「それが起こらず」
「まことに」
「何よりだ、治水がよかったせいもあるが」
それに加えてというのだ。
「やはりそこまでの大雨でなかった」
「左様ですね」
「だから洪水にもなりませんでしたね」
「この度は」
「そうだ、ではそのことをよしとしてだ」
それでというのだ。
「道が乾いてからな」
「それからですね」
「下野に向かいますね」
「そうしますね」
「そうする。それまでは引き続きだ」
このままというのだ。
「兵を休ませるぞ」
「わかりました」
「その様にしましょう」
「道が乾くまで」
「それまでは」
「そうする」
こう言ってだった。
英雄はまだ兵達を休ませた、そして道が乾くとだった。
あらためて軍を進めませた、だがその前に突如幾十万もの魔物達が出て来た。それは下野そして常陸の方から出て。
幕府の軍勢の前に出た、将帥達はこの事態について英雄に話した。
「上総及び上野から攻めている軍勢にもです」
「魔物達が向かっています」
「我等の方だけでなく」
「幕府の全ての軍勢にです」
「そうか、何があってもと考えていたが」
それでもとだ、英雄は冷静に述べた。
「災害はなくともな」
「それでもですね」
「こうして魔物が出てきましたね」
「それも幾十万も」
「そうだな、だが臆することも戸惑うこともない」
一切とだ、英雄は周りに話した。
「魔物も敵の軍勢と同じだ、陣を敷いてだ」
「そうしてですね」
「そのうえで、ですね」
「戦うのですね」
「魔物達と」
「鉄砲と大砲を前に出し」
そしてというのだ。
「槍も弓も構え術を放つ用意もだ」
「整えてですね」
「そうして戦う」
「敵が前に出れば」
「そうしますね」
「そうしろ、魔物は倒せば銭になる」
身体がそう変わるということも話した。
「それは山分けだ、だからだ」
「魔物はですね」
「片っ端から倒せばいいですね」
「襲い掛かって来る者達を」
「そうすればいいですね」
「そうしろ、陣を整えればだ」
その様にすればというのだ。
「如何に魔物が多くともだ」
「勝てますか」
「幾十万でも」
「それでもですか」
「それ位で敗れる様な軍勢にはしていない」
一切、そうした言葉だった。
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